そこが知りたいQ&A−最高人民会議第11期第5回会議のポイントは? |
科学技術部門の歳出大幅増 1.6倍に、経済管理改善問題に言及、「円滑に解決」 既報のように、最高人民会議第11期第5回会議が11日、平壌で行われ、▼内閣の昨年の活動状況と今年の課題▼昨年の国家予算決算と今年の予算▼組織問題について討議された。今会議について見る(会議での報告要旨は別項)。 Q 今会議のポイントは何か。 A ひとつは、今年の国家予算で、科学技術部門への支出を大幅に増やしたことがあげられる。昨年に比べ160.3%になる。
今年の国家予算支出は昨年より3.3%増で、農業108.5%、軽工業116.8%、人民経済4大先行部門(電力、石炭、金属工業と鉄道運輸)111.9%だ。これらとくらべても科学部門への支出の大幅増が目につく。 また会議では、企業所純所得の2%を独自の科学技術発展活動に投資する新しい措置を執行するようにした。 近年朝鮮では「生産と科学技術の密着」、すなわち、科学技術の発展を通して生産性を高め経済発展を遂げる方針が打ち出され、工場、企業所では生産工程の現代化が国家的関心のもとで推し進められてきた。 科学技術発展を最重視する今回の措置は、昨年10月の核実験成功以後急変する国際環境の変化を見据え、経済発展の自立的土台をしっかりと築くとする意志を示していると言える。 Q 科学技術発展5カ年計画が今年終わるというが。 A 朝鮮では98年から科学技術発展5カ年計画が施行され、続いて、03年から今年までの予定で計画が推進中だ。 昨年の最高人民会議第11期第4回会議では、08年から12年まで次の段階の科学技術発展5カ年計画の策定を課題としてあげた。さらに、その10年後の22年までを見越した「科学技術発展戦略」樹立の目標を示した。内容としては、「科学技術強国」「プログラム開発強国」を目指し、科学技術重視路線の貫徹において根本的な転換をもたらしていくと宣言した。 今会議の報告は、現在の5カ年計画で想定された科学技術発展課題を確実に遂行し次の段階の計画を経済強国建設の要求に即して正確に作成すると指摘。経済成長において科学技術が果たす役割を高めていくと強調した。 Q 国防費は? A 今年は歳出総額の15.8%をあてることになるという。これは例年と同じ水準といえる。昨年は歳出総額の16%だった。 ここ数年を見ても14.3%(00年)、14.4%(01年)、14.9%(02年)、15.9%(03年)、15.6%(04年)、15.9%(05年、執行は未発表、数字は編成案)と推移している。 盧斗哲内閣副総理は国家予算に関する報告で、社会主義経済建設と人民生活向上とともに国防力強化に必要な資金需要を円滑に満たせるよう今年の予算を編成したと指摘した。 6者会談が再開されたとはいえ、朝米の対立の構図には変わりはない。国防費に引き続き大きな予算をあてざるをえないのは当然と言える。 Q ほかに気づく点は? A 引き続き経済管理改善措置を講じるよう促し、新たな措置がとられることを強く示唆している点だ。 報告は、今年の中心課題のひとつとして、「社会主義経済管理問題を朝鮮式に円滑に解決していく」ことを強調した。 02年に執行された「全般的経済管理改善措置」は、社会主義の原則を守りながら最大の実利を保障する経済管理システムを構築することに目的があった。今会議では、さらに現実に即した改善策を追求することが強調された。課題として人民経済のバランスの取れた発展を遂げるための計画化方法問題、勤労者の創造的能力を最大限発揮させる問題などが指摘された。 また、報告では対外経済活動の改善、強化に大きな力を入れることに言及した部分が注目される。内容としては貿易額を画期的に高め、外国との経済技術的協力と合弁、合作を積極的に実現していくとしている。 これらは以前の会議でも言及されてきた問題ではある。今年、あらためて強調されたことはこの政策に変化はなく引き続き推し進めていくという意思の表れだろう。(姜イルク記者) [朝鮮新報 2007.4.20] |