top_rogo.gif (16396 bytes)

東京でコリアン学生学術フォーラム

 「21世紀、在日コリアンの可能性」を統一テーマに11月23、24の両日、東京新宿の日本青年館で「コリアン学生学術フォーラム2003」(主催=同実行委)が開かれた。昨年に続き2回目となった同フォーラムでは在日本朝鮮人留学生同盟、在日本朝鮮青年同盟朝鮮大学校委員会、在日韓国学生協議会が実行委メンバーに名を連ねた。また、在日韓国留学生連合会、在日中国朝鮮族非営利団体天池協会が協賛団体として初めて参加し、在日だけでなく在中、韓国留学生、日本人などが集う幅広いイベントとなった。

2日間、活発に論議

2日間にわたって真摯な議論が交わされたコリアン学生学術フォーラム

 フォーラムのメインはテーマ別分科会。@統一コリアと北東アジアA社会と人権Bアイデンティティー及び教育と歴史CビジネスD科学と技術−の5つのテーマ別に28編の論文が発表された。

 論文発表後、指導講師、コメンテーターも交えて参加者と発表者による質疑応答が行われた。2日目(24日)にもテーマ別討論会が行われ、参加者らは日ごろの悩みや疑問点などをぶつけ合い、本音で語り合った。

 論文審査委員長の洪南基氏(神奈川大学理学部非常勤講師、科協副会長)は、「学術性、整合性、在日の可能性への提言性を評価の対象にした。28編の発表数自体大きく盛り上がった。審査委員らも非常にすがすがしく、啓発された点が多いと喜んでいた」と審査の弁を語った。今後の課題としては、ベースとなる基礎的な認識が怪しい点を指摘。学術性を追求するには内容が大事で、もっと研鑽を積んでほしいと激励した。

 今回、統一コリア賞に輝いたのは、京都大学法学部4回生金希玲さんの論文「『市民権』概念と外国人の権利保障〜デニズンシップの視点からの権利拡大〜」。スウェーデンの政治学者トーマス・ハンマーが提唱した「デニズンシップ(永住市民権)」概念を取り上げ、今後の永住外国人の権利保障のあり方について考察した。

 金さんは「自分が共感したデニズンシップの概念をみんなに伝えたくて論文を書いたが、不安もあった。自分の考えを先生方が後押ししてくれたことがうれしい」と受賞の喜びを語った。

中国朝鮮族らも参加

 今回のフォーラムの特徴は、南朝鮮の留学生や在日中国朝鮮族、日本人らが参加した点。昨年に比べいっそうすそ野が広がった。

 現在、日本には朝鮮族が3万人ほど暮らすという。その団体の一つ、天池協会に所属する金星さんは、「今年は副理事長の李鋼哲氏をパネラーにする形で協力した。来年からは論文も発表していきたい」と語った。金さんらは関心があるということから、「統一コリアと北東アジア」分科に参加していた。

 「尚峰氏は、「想像以上に在日の影響力の大きさに驚いた。これから交流を深めていきたい」と話した。

 南からの留学生、金ポクヒさんは、最も考えるべき問題だとして「アイデンティティー及び教育と歴史」分科に参加した。「発表された論文はすべて特徴があって印象に残った。在日は差別にぶつかりながら民族意識を培ってきた部分があった。今後、差別が見えにくい中でどう民族意識を育てていくかが課題だ」。

 「社会と人権」分科のコメンテーターとして参加したNPO法人「東京エイリアンアイズ」創設理事の高野文生さんは、「外国人留学生とつきあう過程で在日の気持ちにも前より近づけたと思う。在日朝鮮人に対する差別問題への関わりが留学生の問題に関わる契機になった。その過程でまた在日に帰ってきた。こうした場を提供してくれたことに感謝している」と感想を述べていた。

 フォーラム実行委委員長の朴栄致留学同中央委員長は、「広範なコリアン学生が、在日の枠にとらわれることなく、学生らしい自由な発想と斬新な切り口で、コリアンとコリアン社会の未来のために積極的で建設的な提言をし、かつ、統一祖国の実現とその発展に貢献できる人材を幅広く発掘すべく、昨年に続き同フォーラムを開催した」「今回のイベントが豊かで仲むつまじく力強いコリアンコミュニティーを築くきっかけになれば」と語っていた。(文聖姫記者)

(関連記事)

〈コリアン学生学術フォーラム2003〉 パネルディスカッション

〈コリアン学生学術フォーラム2003〉 HOW TO講座

〈コリアン学生学術フォーラム2003〉 統一コリア賞を受賞した金希玲さんの論文

[朝鮮新報 2003.11.29]