西海での北侵演習 朝鮮の団体、メディア 断固とした姿勢表明 |
「対処準備整えた」 朝鮮西海で起きた砲撃戦によって緊張が高まる中、朝鮮は米国と南朝鮮の挑発行動に対して断固とした対応措置を講じる姿勢を表明している。西海では原子力空母ジョージ・ワシントンなどぼう大な戦力を動員した米国と南朝鮮の合同軍事演習が強行された。朝鮮は「超非常の戦時状態」(朝鮮平和擁護全国民族委員会声明)に至ったとの認識を示し、無謀な軍事挑発を強く非難した。また、西海砲撃戦に関する朝鮮中央通信社の論評を通じて「今回の事態を意図的に計画し、背後で操作した張本人は米国」と指摘し、現在の緊張状態は米国の対朝鮮敵視政策に起因しているとの主張を展開した。 平和擁護委声明 朝鮮平和擁護全国民族委員会(平和擁護委)は、米国と南朝鮮軍が米原子力空母ジョージ・ワシントンなどぼう大な侵略戦争装備を動員して朝鮮西海で最大規模の合同訓練を開始した11月28日に声明を発表し、「われわれは、原子力空母ではなく、それ以上のものが襲い掛かってきても、それに対処するすべての準備を整えている」と強調した。 声明は、「朝鮮半島情勢は超非常の戦時状態に至り、平和と安全が極度に脅かされる重大な事態が生じている」としながら、合同訓練を、朝鮮半島の緊張緩和と平和を願う全同胞と国際社会に対する乱暴な挑戦、地域の情勢を全面戦争の局面に追い込む危険極まりない軍事的挑発であると認め、これを朝鮮民族と世界の平和愛好人民の名で強く糾弾、断罪すると指摘した。 また、米国と南朝鮮軍が、常に軍事的衝突と紛争が起こりかねない最も張り詰めたデリケートな水域に、この前の砲煙が消えないうちにぼう大な侵略武力を送り込んで軍事訓練を行うのは、何としても侵略の口実を設けてあくまでも戦争の火を付けようとすること以外の何ものでもないと非難した。 米国と南朝鮮軍は10月、米原子力空母ジョージ・ワシントンを参加させて西海で大々的な北侵戦争演習を行おうとしたが、内外の一様な反対に遭って阻止されると、今回、延坪島事態を口実にしてついに実行に移したとしながら、これは、南朝鮮の軍事的挑発が米国の唆しと共謀・結託の下で緻密に準備された北侵戦争計画に従って強行されたものであることを実証していると指摘した。 朝鮮中央通信社論評 朝鮮中央通信社は11月27日、「軍事的衝突を招いた張本人は誰か」と題する論評を発表し、「米国は今回、南朝鮮軍を唆して延坪島で軍事的衝突を引き起こし、それを奇貨に原子力空母の西海進入を実現させようと前もって画策した」と主張した。 論評は、軍事的衝突が発生するや否や、真相を調べもせずに朝鮮の「一方的挑発」だると声をそろえて騒ぎ「糾弾」騒動を主導したのは、米国が事前に挑発のシナリオを綿密に作成していたことを物語っていると指摘した。 論評は、朝鮮が延坪島一帯での砲撃計画を中止するよう何度も警告した事実と、自らが先に北側領海に砲撃した事実について南側が口をつぐんでいることに言及しながら、「民間人死傷者発生」についてのみ極大化して宣伝していると指摘した。 そして、延坪島砲撃で民間人の死傷者が発生したことが事実であるなら、極めて遺憾なことにほかならないが、その責任は今回の挑発を準備して砲陣地周辺と軍事施設内に民間人を配置し、「人間の盾」を形成した敵の非人間的な行為にあると強調した。 また、諸般の事実は、朝鮮半島で約60年間、不安定な停戦状態が持続し、周期的に軍事的緊張が高まっているのは米国のアジア支配戦略に基づいた対朝鮮敵視政策に起因していることをあらためて如実に実証しているとしながら、「米国があくまでも空母を朝鮮西海に進入させる場合、その結果は誰も予測することができない」と強調した。 祖平統代弁人声明 祖国平和統一委員会(祖平統)は11月26日にスポークスマン声明を発表し、「言葉で警告していた時期はすでに過ぎた。われわれは、善意には善意で応えるが、われわれの尊厳と自主権を侵害する挑発者に対しては、仮借なく断固かつ無慈悲な気概を示すであろう」と警告した。 声明は、南朝鮮当局の無分別な騒動によって、南朝鮮全土が殺伐とした同族対決狂乱で沸き返り、北南関係は戦争前夜の険悪な状態へとひた走っているとしながら、「こんにちの事態は、李明博保守一味が政権を握れば北南関係が悪化し、戦争が起こりかねないというわれわれの警告と内外の憂慮が杞憂ではなかったということを、目の前の現実として明白に実証している」と指摘した。 声明は、南朝鮮軍は戦争演習場を次第に北側の近くに接近させ、あげくには北側領海に向けて砲撃したとしながら、「自分の前庭で銃弾・砲弾を撃って挑発する行為を、この世の誰が座視するであろうか」と反問した。 そして、「李明博政権とは対話だの、交渉だのと言うこと自体がオメデタイ考えであり、対決意識が化石のように固まった彼らには理性も、道理も何も通じないということが、われわれがこの2年数カ月にわたって得た骨身に染みる教訓であり、結論である」と指摘した。 朝鮮人民軍板門店代表部 朝鮮人民軍板門店代表部は、米軍から11月23日に延坪島砲撃事件が「停戦協定違反」だと言い掛かりをつける通知文が寄せてきたことと関連し、25日、米軍側に次のような内容の通知文を送った。 今回の事件発生には、米軍側にも責任がある。 朝鮮西海が、北南間の対決と衝突の危険が常に存在する紛争水域になったのは、米国がわれわれの領海に勝手に引いた不法および無法の「北方限界線」(NLL)のためである。 米軍側が真に朝鮮半島の緊張緩和を願うなら、南朝鮮をむやみに庇護してはならないし、彼らがNLL固守のために領海侵犯と砲撃といった冒険的な軍事的挑発行為にこれ以上しがみつくことができないように徹底的に統制すべきだ。 事態は、停戦協定の実際の違反者も南朝鮮であり、朝鮮西海上に紛争の火種をまいたのも米国であるということを示している。 南朝鮮当局がまたも無分別な軍事的挑発を行うなら、わが軍隊は、ちゅうちょなく2次、3次となる強力な物理的報復攻撃を加えるであろう。 [朝鮮新報 2010.12.1] |