遺骨放置、所在不明のものも 総数7000人分以上 日本政府は全面調査を |
「7000人分以上」−今も日本各地に残されている朝鮮人無縁仏と未収集遺体を含む朝鮮人強制連行犠牲者の数だ。遺骨はもちろん、何かしらの手がかりがあるものだけを含めた数で、調査が及んでいない地域、未確認のものがこの数倍も残っている。過去の過ちを反省しない日本の不誠実さを顕著に表している。 注目される誠実さ 敗戦から60年。日本では8月15日を前後して各地で戦争犠牲者を追悼する行事が行われたが、同時に植民地支配に対する過去の清算を求める集会や要請活動も活発に行われた。 日本は昨年12月、朝鮮半島出身徴用犠牲者の遺骨調査について南朝鮮から依頼を受け、実態調査に着手した。強制連行に関与した企業に調査票を送付し、6月には各都道府県と指定都市に「情報提供依頼書」を送付した。15日を前後してその集計が行われているものと思われる。 日本政府の誠実な対応が期待されるなか、朝鮮新報が行った集計で実態の一部が明らかになった。朝鮮人強制連行真相調査団と各地の活動家、研究者、寺院関係者の協力のもと行った調査では、現在3700体以上が日本各地に残されており、さらに3500人分の手がかりあることがわかった。 一方、戦後60年という長い年月が遺骨の特定と返還を困難にしていることも改めてわかった。複数の遺骨が一つの箱に混ぜられ個別性が失われたもの、埋まったままのもの、遺骨の所在がわからなくなったものが多いのが現状だ。 最も基本的な人道問題である遺骨問題の解決に向けて、日本政府がどれだけ誠実に取り組んだのか、集計結果に注目が集まっている。 遺骨問題は現在の問題 朝鮮人強制連行真相調査団は、日本政府が戦後60年目にして「やっと重い腰を上げ」調査に取り組んだことを評価し、情報を提供しつつ、調査の不備についても指摘してきた。犠牲者を「北と南」「強制連行とそれ以外」で区別することなく平等に扱い、関連資料をすべて公開し全面的な解決を目指すよう訴えてきた。 南朝鮮で2月に設置された「日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会」には、約20万件の被害申告が寄せられた。遺骨問題が過去に過ぎ去った問題ではなく、現在の問題であることを物語っている。 日本では民間調査団体「強制動員真相究明ネットワーク」が結成され、各地で犠牲者に関する調査などが行われている。 山口県では各市区町村に窓口を設置し、情報提供を募るとした。東京都や大阪府なども調査団の要請に対してきちんとした調査を行うことを約束した。 そんななか、「調査が形式的なものにならないか」(調査団関係者)と憂慮する声もある。日本政府が送付した「情報提供依頼書」は強制力を持っていない。さらに、強制連行のあった地域が記載されているものの、関連企業名や連行規模などへの言及がないからだ。 日本政府は15日の閣議で、小泉首相の談話を決定、発表した。談話は「わが国はかつて植民地支配と侵略によって、とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」と指摘した上で、「あらためて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する」とした。 植民地統治下において与えた損害と苦痛のみならず、戦後60年にわたって犠牲者を放置し、遺族に悲しみを与えた責任をどれほど重くとらえているのか。「反省とおわび」が改めて問われている。(李泰鎬記者)(終わり) 各都道府県別
名簿、埋火葬許可証、証言などから
※表の「遺骨等数」は近年、確認された遺骨(一部、位牌のみ、過去帳記載のみのものも含む)を基本としてまとめたが、一部(岩手、山形、広島、佐賀など)は光復後、祖国に持ち帰った可能性がある。各地での具体的な調査、情報提供を期待する。 [朝鮮新報 2005.8.23] |