強制連行犠牲者の遺骨問題 日本政府の不誠実さ浮き彫り |
資料全面公開、担当部署設置が急務 南朝鮮の盧武鉉大統領が昨年12月、小泉首相に民間徴用者の遺骨収集への協力を要請してから一年が経つ。日本政府はこの間、強制連行関連企業に調査票を送付し、都道府県と指定都市に情報提供を依頼。遺骨返還に初めて協力的な姿勢を示した。東京・祐天寺に安置された遺骨のうち138人に関して遺族が判明するなど、一定の成果も表れている。しかし、日を追うごとに日本政府の不誠実さも明らかになっている。過去の清算は「戦後60年」の今も終わっていない。日本政府は早急に全面調査を行うべきだ。 独自調査行う自治体も 日本の侵略戦争の犠牲となった同胞の遺骨は、依然としてほとんどが放置されている。 だが、「戦後60年」ということもあり、日本でも遺骨問題をはじめ過去の清算を求める声が高まり、積極的に協力する人たちが行動した。7月には強制動員真相究明ネットワークが設立され、政府や省庁への要請活動を行った。北海道では、朝鮮人と日本人、寺院が協力し合って遺骨返還の活動に取り組んでいる。曹洞宗宗務庁は、約1万5000カ所の傘下寺院を対象に遺骨調査に乗り出した。 日本政府の「情報提供依頼」を受け、山口県では遺骨問題を扱う部署を決め、ホームページなどで情報提供を呼びかけた。麻生太郎外相の「お膝元」で、多くの朝鮮人が炭鉱労働などに従事させられた福岡県飯塚市では、1937年から45年までの埋火葬認可証を見つけだし、民間団体に開示した。同じく田川市では、市の職員が無縁仏納骨堂から朝鮮人の遺骨3体を見つけだした。 厚労省は資料公開せず しかし、日本政府の不誠実な対応はまったく改善されていない。 当初、日本政府が行った調査票の送付はわずか100社のみ。全国の寺院を対象にした調査には手をつけず、民間団体や専門家への協力依頼も行わなかった。厚生労働省などは、資料や名簿をまったく公開していない。 日本政府の「情報提供依頼」は形式的なもので、自治体によって取り組みにバラつきがでた。結果、たった868人分の情報しか得ることができなかった。 また、「韓日」遺骨調査協議会においても、南朝鮮側の資料提供要求には非協力的だ。強制連行関連企業108社の資料提供要請に対して、8社しか回答、提出しなかった。 さらに、民間団体の資料公開要請にも「プライバシー」を盾に拒否し続けている。強制連行関連事業所について情報を求めた朝鮮人強制連行真相調査団に対しては、すでに公開されている部分を黒く塗りつぶして回答を送りつけてきた。 日本政府の不誠実な姿勢は自治体に悪影響を及ぼした。東京都は自らが作成した「戦災死者」に朝鮮人名が記載されているにもかかわらず「ゼロ回答」。東京、大阪、福岡などのある自治体職員は、日本政府の「情報提供依頼」が「たらい回し」にされていることを認め、調査体制のずさんさが明らかになった。 新たに発見された遺骨も 調査団など民間団体は、日本政府の調査における不備を再三指摘してきた。調査団によると、日本政府作成(1946年)の約6万7000人分の名簿に限っても強制連行関連企業は400社以上にのぼる。また、強制連行された朝鮮人のうち数万人が死傷していたことを、日本政府が1962年2月の時点ですでに把握していたことを示す文書もみつかった。 調査団は、少なくとも5万人分の遺骨が日本に残っていると見ている。南朝鮮の日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会に寄せられた被害申告は20万件を超えた。 調査団など民間団体は今年、北海道、東京、神奈川、千葉、大阪、兵庫、福岡、長崎などで遺骨をみつけた。福島では氏名、遺骨所在地などが記載された225人分の名簿がみつかった。民間の力でこれだけのことができた。 資料や名簿を握っている日本政府が本腰を入れ、各省庁と自治体、関連団体と施設に働きかければさらに多くの遺骨と遺族がみつかることは容易に想像がつく。まずは、資料の全面公開と各自治体での専門部署を設置することが必要だ。(泰)
(関連記事) [朝鮮新報 2005.12.13] |