日本による強制連行犠牲者 遺骨問題でシンポジウム、過去の清算、収集・返還強く求める |
東京朝鮮人強制連行真相調査団主催の「祐天寺に残された遺骨から今、戦争と平和を考えるシンポジウム」が12日、日本教育会館(東京都千代田区)で行われた。シンポジウムには、調査団のメンバーと研究者、同胞、日本市民ら約150人が参加。日本政府に謝罪と過去の清算を要求し、連帯を深めていこうという「アピール」が満場一致で採択された。 責任回避に怒り
シンポジウムではまず、南朝鮮からかけつけた「浮島丸」爆破事件の遺族である全承烈さん(「浮島丸事件」原告団代表)が発言し、約60年間、謝罪も遺骨返還も行わずに責任回避を続ける日本政府に対する怒りの心境を語った。 つづいて、日本政府に入国拒否され参席できなかった北側遺族らのインタビュービデオが上映され、朝鮮の「日本軍『慰安婦』および強制連行被害者補償対策委員会」の報告が代読された。 報告は、遺骨問題は日本が敢行した強制連行などの産物であり、日本政府が過去の清算の一環として、当然解決すべき問題であるにもかかわらず、何ら「見解」も示さず、対策も講じないまま放置していると厳しく指摘。遺族への謝罪と補償、徹底した遺骨の調査、発掘、返還を訴えた。また、祐天寺の遺骨名簿中、北側出身者が250余人に上り、そのうち5人の遺族が北側でみつかったことを明らかにし、事実を知らされた遺族たちが精神的苦痛を強いられていると指摘した。 「遺霊と遺骨を冒涜」 また、南朝鮮の鄭恵瓊博士(強制動員真相糾明市民連帯)が「日帝末期強制連行犠牲者遺骨問題の本質と課題」というテーマで報告。百数十億円の予算を投じながらも自国民の遺骨調査だけを進める日本政府を批判しながら、南北政府が日本政府に堂々と遺骨の返還、さらに放置、毀損に対する謝罪を要求し、両政府自らも調査活動を行わなければならないと語った。 清水澄子氏(朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表)は、北側遺族の入国を拒否した日本政府の対応について「遺霊と遺骨を冒涜するものだ」と激しく抗議した。 シンポジウムに先立ち11日、強制連行犠牲者の追悼会が祐天寺で行われ、調査団関係者、同胞、日本人らが参加し、法要が営まれた。 北出身者遺骨を差別
シンポジウムでは、遺骨問題において北と南を差別してきた日本と米国の卑劣な行為を示す、日本外務省の外交文書(2000年公開)が公表された。 文書には、日本政府がGHQの指令(1947年2月)に従って朝鮮半島出身の旧日本軍人軍属犠牲者の遺骨のうち「遺族が南鮮に在住しているものの分だけ」を送った事実が記載されている。 さらに、旧厚生省が遺骨返還の際、日本人に対して支払っている引取費などを「北鮮側が要求しても応じない方針」だったことも明らかになった。 この事実を発表した清水氏は、「北出身者の遺骨に対する公然たる差別」だと、GHQと日本政府の不誠実な対応を批判し、日本政府が速やかに未解決の遺骨収集と返還を行うよう求めた。(李泰鎬記者) (関連記事) [朝鮮新報 2004.12.16] |