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朝大出身者に明るい兆し 国家資格試験−司法試験1次試験免除

他の資格試験にも道、影響少なくない「法務省決定」

 「各種学校」であることを理由にこれまで朝鮮大学校出身者には、国家資格受験においてさまざまな不都合があったが、最近、そうした状況に変化が見られる。国立大学大学院への入学資格の認定、司法試験1次試験の免除、在学時における保育士の受験資格の認定の動きなどがそれだ。今号では、司法試験と保育士の受験資格について見てみた。(崔良先記者)

 まずは弁護士を目指す人に朗報だ。来年度から朝大卒業生(見込みも含む)に、司法試験1次試験が免除されることになった。

 法務省が今年8月16日、「司法試験法第4条第1項第4号の規定により司法試験第1次試験を免除される者に関する規則」の一部を改正する省令を公布し施行したのに基づくものだ。改正の内容は、「個別の受験資格審査により、学校教育法に定める大学(短期大学を除く)を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者で、受験しようとする年の3月31日までに22歳に達している者に対し、司法試験第1次試験を免除する規定を加える」というもの。これによって、朝大卒業生も司法試験委員会(司法試験管理委員会改め)の個別資格審査を通じて、学校教育法が定めた大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者として、試験を免除されることになった。

朝・日学生が共同行動

権利拡大の流れの中、朝大生の国家資格受験資格の道が開けてきた

 これまで朝大卒業生は、司法試験1次試験を免除されてこなかった。そのため、日本の大学の法学部通信課程に2年以上通い必要な単位を修得するか、日本の大学院研究科を受験し、その合格証明書をもって1次試験免除要件を満たし、2次試験に進んでいた。このように「ダブルスクール」状態に置かれていることによる精神的、経済的負担が少なくないことは想像に難くない。一方で、同じように外国の大学である米テンプル大学日本校卒業生などには1次試験が免除されている。

 今回、法務省が新たな措置を取ることになったのには、朝大と日本の大学の学生が共同で行った要請活動が少なからぬ影響を与えた。

今後の同胞社会を担う若い世代

 昨年7月15日、朝大政治経済学部法律学科の学生たちは、教員、日本人講師、同胞弁護士らとともに法務省司法試験管理委員会に直接出向き、要請活動を行った。

 今年1月23日には、日本の大学生とともに「日・朝大学生有志一同」の名で司法試験委員会委員長あてに要望書を提出した。このような共同要請行動は、昨年、朝鮮大学校の学園祭で、「朝・日の未来を考える朝・日学生シンポジウム」が開かれたのがきっかけとなった。討論の過程で、在日朝鮮人学生が抱える問題点について知った日本の大学生は、この問題を自分たちの問題としてとらえ、解決に向けてともに行動を始めた。

 このような過程を経て8月に司法試験1次試験免除が認められた。9月には政経学部法律学科卒業生(2期)の任幸久さんが、1次試験免除に関する資格審査のための書類(卒業証書などを添付)を司法試験委員会に提出し、10月に同委員会の上谷清委員長の名による1次試験免除の決定通知が届いた。任さんは朝大での認定第1号となる。

「問題解決への突破口」

 今回の法務省の措置は、「日本の大学を卒業した者と同等の学力がある者」を条件とする国家資格受験資格において、朝大卒業生の個別審査による認定の道を開いたものだ。

 一方で、日本の法制度の整備と維持を担当する行政機関である法務省の決定事項であるがゆえに、ほかの国家試験の受験資格に及ぼす影響も少なくない。他の国家資格試験の受験資格にも道筋をつけたといえる。

 公認会計士試験、不動産鑑定士試験は同様のケースであり拒む理由はない。受験にあたってまず行政書士の資格が必要とされた社会保険労務士に関しても、ストレート受験に有利な状況がもたらされたといえる。

 政経学部の池永一学部長は、「今回の司法試験1次試験免除は、ほかのさまざまな問題を解決していくうえで突破口を開いたといえる」と述べる。

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[朝鮮新報 2004.11.20]