法律学科から司法書士第1号 法科大学院合格者も |
朝鮮大学校(東京都小平市)政治経済学部に法律学科が創設され6年目となった今年、1期生の皇甫泰伸さん(23)が司法書士試験に見事合格した。法律学科卒業生としては第1号の合格者。また、2人の合格者を出した昨年度に続き、今年も法科大学院(ロースクール)に2人が合格した。現役4年生の康仙華さん(21)と1期生の朴泰憲さん(24)。3人は、「在日同胞の生活と権利をしっかりと守っていきたい」と口をそろえる。(金明c、崔良先記者) 法律学科出身の個性を(司法書士試験に合格、皇甫泰伸さん、23) 司法書士の資格を取ろうと思ったのは大学入学後。在学中は、授業の一環としての裁判傍聴や司法書士演習などで、著名な弁護士、司法書士から興味深い話をたくさん聞いたという。 「法律を武器に仕事をしながら人権活動などに取り組み、社会に貢献している彼らの姿に刺激を受けた。いつしか自分もそうなりたいと思っていた」 法律学科では、弁護士や司法書士の資格取得に焦点を合わせたカリキュラムを組んでおり、他大学の法学部では稀な登記法の科目も設けている。 「常に先生たちの惜しみないバックアップがあった」と皇甫さん。いわゆる「受験勉強」をしたことがなかったため、「受験勉強のコツやテクニックをつかむのに時間がかかった」が、「寮生活、クラブ活動などを通じて、学んだものを自分のものにし、何事も試行錯誤して乗り越えていく力を養うことができた。それが受験への大きな力となった」と話す。 卒業後は同大の研究院生としてさらに勉学に励んだ。 「辛いこともあったが、大学院で専門分野の研究を踏みながら、博士号を取得したり、海外で活躍している先輩たちを見て、自分も最後までがんばろうと思えた。同じ目標を持った仲間もいる。家族、友人らの温かいアドバイスもあった」と振り返る。 朝大卒業から約1年で合格。来年1月からは研修が始まる。「いかに活動するかはこれからの努力にかかっている」と何度も自分に言い聞かせている。 多岐にわたる分野で仕事をしている事務所に入り、いろんな司法書士から学びたいという皇甫さん。「法律学科出身という個性を生かせたら。自分にしかできないことをしたい」と意欲を見せる。 社会的弱者の権利擁護に(現役で初の法科大学院合格者、康仙華さん、4年) 康さんは立命館、関西学院大学の法科大学院など3校に合格。関西学院大学法科大学院に進学する。 初、中、高と朝鮮学校に通いながら在日同胞にはさまざまな面で十分な権利が施されていないことを知った。朝鮮学校に対する助成金や朝高生の国立大学受験資格の問題など、大阪朝鮮高級学校時から権利問題に関心を寄せるようになった。 「法的知識を武器に、同胞らが抱える問題に取り組んでみたい」。朝大を選んだ理由も、「在日同胞社会や現代朝鮮に関する知識をしっかりと持つためだ」と話す。 大学の授業では教員の言葉を一言も逃すまい、と必死に勉学に励んだ。 「朝鮮大学校の経験豊かな教員、日本法学界の一流の講師らにしっかり学んだことで基礎ができた。何よりも先に道を開いてくれた1、2期生たちのアドバイスが力になった」 法科大学院終了後は新司法試験を目指し、さらに勉学に励む決意でいる。 「将来は、同胞社会の生活と権利を守り、とくに在日外国人や女性問題など、社会的弱者のための権利獲得、擁護に力を注いでいきたい」 [朝鮮新報 2004.11.20] |