〈在日本朝鮮留学生同盟 過去・現在・未来〉 留学同埼玉 |
「ハンギョレコミュニティー」実現へ 1996年に、当時の留学同関東地方本部から分離、結成された留学同埼玉地方本部は、埼玉、群馬、栃木県下の大学、専門学校に通う同胞学生を対象とし、現在「埼玉大学支部」と「川越合同支部」の2つの支部を中心に活動している。 その留学同埼玉では、10月から「ハンギョレ通貨流通プロジェクトチーム」なるものを立ち上げた。留学同第23期第2次中央委員会での報告の中で提起された、「在日コリアン学生ハンギョレコミュニティーを実現することについて」を推し進めるために立ち上げたもの。 残念ながら同胞学生社会では関係が日ごとに希薄になり、価値観が多様化している。そんな現状を見るとき、同胞学生の民族性を守り、伝統ある同胞社会を発展させていくには、新たな概念に基づいた運動が必要だ。 留学同埼玉では、民族愛、同胞愛という共通の感情の下、互いに助け合い、導きあう同胞学生たちの緩やかな社会を築くための一つの手段として本企画を立ち上げた。 同胞社会に活かす「ハンギョレ通貨」 「ハンギョレ通貨」のようなものを、一般には「地域通貨」と言う。 「地域通貨」とは互いに助け合い、支えあうサービスや行為を地域やグループ独自の紙券などに置き換え、循環させるシステムのことで、「円」などの「国民通貨」とは違った「もう一つのお金」とも言え、「コミュニティーづくり」の役割を果たす。 例えば自分の「できること」「してほしいこと」を登録しておき、何か助けが欲しい人に対して自分の「できること」を手伝い、自分が助けてほしいときは、誰かに助けを求めることができる。つまり一方的なボランティアでなく、互いに「助け、助けられる」関係を作り出すシステムのことだ。 日本においてその概念は、市民運動の盛り上がりとともに90年代後半から浸透し始め、現在では多くのボランティア団体やNPO団体などが、コミュニティーの活性化を目的に利用している。例えば、地域のお年寄りが「地域通貨」を利用して若者に買い物や身の回りの世話を頼んだり、若者は「地域通貨」を利用してお年寄りに料理教室の講師を頼んだり、といった具合である。 また「地域通貨」は知り合い同士はもちろんだが、コーディネーター(仲介人)を通じて未知の人との取り引きもできる。 まさに、「同胞」という言葉一つでつながって行き、相互扶助をモットーとしてきた同胞社会にぴったりの概念であると考えられる。 これを同胞社会に活かそうと考えられたのが「ハンギョレ通貨」であり、実際に流通させようと立ち上げられたのが「ハンギョレ通貨流通プロジェクトチーム」である。 有志とともに活動を定期化 現在、「プロジェクトチーム」には、定期的に朝鮮語を学んでいる日本人も加わっている。10月初旬に案内パンフなどの書類を完成させ、実際に配布し、過去2回の「作戦会議」を開いた。また実際に使ってみようと言うことで、チームのメンバーらで「ハンギョレバザー」を開いた。この企画は今後、定期的に行う予定だ。 今は、今月行われる「コリアン学生学術フォーラム」で本企画について発表する論文を準備しながら、「ハンギョレVillage」と名打ったホームページも作成中だ。さらに同胞学生のみならず、朝青などの諸団体とも力をあわせ、さらなるコミュニティーの拡大、活性化に努めたい。 朴東浩委員長のコメント 留学同に所属する期間は学生にとって、その後の人生観を確立するうえで最も大切な時期である。また、学生たちは奇抜で斬新な発想を生み出すことのできる、無限の可能性を秘めている。 自身のルーツを否定しようとする学生の民族心を呼び起こす活動、日本人との対外活動、南の留学生との祖国統一活動、そのどれを取っても留学同が先頭に立てる、また立つべき活動である。 私自身が学生時代与えられたように、人の人生に大きな影響を与える活動、そして21世紀の在日朝鮮人運動の大きなうねりを作るような活動を行って行きたい。 [朝鮮新報 2003.11.8] |