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〈在日本朝鮮留学生同盟 過去・現在・未来〉 留学同京都

 各地の留学同では、毎年恒例の新入生歓迎会をはじめ、さまざまな活動が本格的にスタートしている。今号から各地留学同本部の「過去・現在・未来」を紹介する。

伝統受け継ぎ

 京都と滋賀地域の同胞学生を網羅する留学同京都は現在、京大、立命館大、同志社大、滋賀合同の4支部から構成されている。

 留学同の活動を活発にするためには、学生同士が集まり運営についての方針を決めたり、民族的アイデンティティーに関する議論を深めていくことが不可欠だ。そのような運営が実現されているのが同本部。本部での支部委員長会議、各支部別の委員会、朝鮮語教室などが毎週規則正しく行われている。「活動の徹底的な体系化は先輩たちから伝わる伝統的なもので、世代は代われどその精神はしっかりと受け継がれている」(金範重委員長)。

学内拠点も

 ほかの地域にない特徴としては、同志社KOREA文化研究会と同志社大学学友会の共催で行われている朝鮮語講座と日朝関係史講座の2つの自主講座をあげることができる。

 講座は14年前に始まったもので、「最高学府である大学にもかかわらず、同志社大学には隣国である朝鮮についての講義がひとつもない」と当時の留学同学生たちが、朝・日関係の歴史の講義と朝鮮語の講義を設置する運動を展開。学校側が「人員と力量が足りない」と難色を示すと学生たちが同志社KOREA文化研究会として運営することを提起。結局、学校側は資金面など全面的にバックアップすることになった。

 「学内で根を張った活動拠点を持っており、その拠点を基盤にさまざまな学生たちとの交流、理解を深めることができる意義は大きい」(許武泰、同志社大支部委員長)

 日朝関係史講座は朴鐘鳴・関西学院大学講師をコーディネーターに、仲尾宏・京都芸術短期大学客員教授や水野直樹・京都大学教授、康宗憲・韓国問題研究所所長をはじめとする学者陣を講師として毎週招いている。同大学の学生以外にも他大学の学生や一般市民が多数参加している。

運動の先駆者

留学同の歴史あれこれ

 在日本朝鮮留学生同盟(留学同)は、祖国解放後間もない1945年9月14日、「緊急朝鮮人大会」の開催(東京)を契機に結成された在日本朝鮮学生同盟(朝学同)を前身としている。

 朝学同は同年9月23日、ビナロン発明で有名な李升基博士らの呼びかけによって作られた「京都朝鮮人留学生会」を包括するなど、より広範で全国的な同胞学生団体として活動を繰り広げた。

 「京都朝鮮人留学生会」はのちに朝学同関西本部となり、留学同京都本部や大阪本部などに分かれていった。1955年には第1回学科別研究討論会が京都で開かれるなど、全国的にも中心的な役割を果たしてきた。

 近年の主な活動内容として特筆すべきものは、1994年12月に「民族学校出身者の京大への受験資格を求める連絡協議会」を結成したことだ。それにもとづき1996年4月、「民族学校出身者の受験資格を求める全国連絡協議会」(民全連)を立ち上げた。講演会、学習会、京大内における署名活動と大学当局との交渉、総長への要請活動、交渉、国連人権委員会差別防止少数者保護小委員会での発言などさまざまな活動を行ってきた。

 最近の外国人学校卒業者の大学受験資格問題でも先駆的な役割を担っている。「大学院レベルで突破口を開いた京大から門戸を開こう」との意気込みで、日本の学生たちとも協力し合い、多彩な運動を繰り広げている。

 また、日本人学生と在日朝鮮人学生の文化、学術的交流、在日朝鮮人問題解決への取り組みをともに行っていくことを目的とした「日朝友好京都学生の会」(2002年10月に結成)の運営など、他の地域に先駆けた活動を行っている。

 一方、OBたちの結束が固いというのももう1つの特徴だ。留学同京都OB会(2002年よりOB、OG会)が1974年に、同関東OB会が1987年に結成され、それぞれの地域で親ぼくを深めている。桂の寄宿舎で寝食をともにした体験が今でも固い結びつきとなっている。

金範重委員長のコメント

 留学同に集うメンバーのなかには、入学まで同胞との触れ合いがほとんどなかったり、親せき程度しか同胞の知り合いがいないという学生が多い。また、最近ではダブルや日本国籍を有する同胞学生も多くなってきている。自分の出自を隠そうとしている子を探し、彼らの民族心を育む活動を続けてきた留学同のノウハウは、今後の在日朝鮮人運動を切り開いていくヒントになるのではないだろうか。これからもより多様な人材とそれにともなうネットワーク作りに寄与していきたい。

 1974年、京都府亀岡市生まれ。同志社付属中、付属高等学校を経て1992年、同志社大入学。入学当時に留学同に出会い、1997年4月から留学同京都本部で専従として活動。2001年4月から現職。

支部委員長のつぶやき

〈思い出の日々〉 民族の誇り、実感する日々

[朝鮮新報 2003.6.23]