統一旗舞いアリラン響く
新潟の同胞青年ら南のCPサッカー代表と交流
新潟の同胞青年らが6月30日、脳性マヒの障害を持つ南朝鮮と日本チームのサッカー交流試合「CPサッカー日韓戦」に通訳ボランテイアとして参加。交流を促す潤滑油として活躍した。試合が行われた新潟サッカースタジアムでは、6人制サッカーや朝・日青年のサッカー試合も行われ、県下同胞が出場した。双方の試合を同胞と南のチームが統一旗を手に合同で応援し、民族同士、交流を重ねた。
NPOの依頼で 通訳ボランティアには、「定住外国人ボランティアネットワーク」のメンバー10人が参加。20、30代前半の同胞青年たちだ。ワールドカップに際してこのイベントを主催したNPO「アライアンス2002」が依頼した。 「CPサッカー」とは、脳性マヒの障害を持つ人たちによるサッカーで、パラリンピックの正式種目。南朝鮮からは申撫~監督率いる国家代表チームが参加した。申監督は南の女子サッカーナショナルチームの監督も兼ねている。
CPサッカーに先立ち、子ども向けのサッカー教室や6人制サッカー試合、朝・日青年のサッカー交流試合が行われた。サッカー教室の講師は申監督。ここから通訳陣の活躍が始まった。 朝青新潟チームが朝・日交流試合で地元の日本チームとたたかっているその時だった。南の選手団が観客席の同胞の所へやって来たのだ。自然に応援の声が合わさり、手拍子に熱が入る。「アリラン」の合唱がスタジアムに響く。同胞側のプッ(朝鮮の太鼓)と南チームのプッの競演が応援をさらに盛り上げた。 朝青チームは3―1で勝利。新潟初中の生徒、OBらで結成された「アリラン」チームも6人制サッカーで見事優勝し、32チームの頂点に立った。 勝利に総立ち メインの「CPサッカー」試合では、日本チームに対し、南が優位に試合を進めた。選手たちを盛り立てたのはすでに歩調をともにしていた合同応援団だ。 通訳のリーダーを務めた呉泳珠さん(29)と南の応援団長申ドンジュンさんのリードのもと、皆が統一旗を振りながら力一杯応援した。「テハンミングッ」の応援コールの後には必ず「チョソン」というコールも交えながら。 南チームが2―0で試合に勝った瞬間、応援席は総立ち。障害を乗り越え、体当たりのプレーを見せてくれた選手たちに惜しみない拍手を送り続けた。 呉さんは「ハナ(ひとつ)という言葉が何度も頭をよぎった。新潟の同胞も統一に寄与できると実感しました」と確かな手応えを感じていた。 同胞障害者も
一連の交流には視覚障害を持つ梁進成さん(36、千葉県在住)と先天性両腕機能障害の李相学さん(25、東京都在住)が合流していた。初級部から大学まで一貫して民族教育を受け、高級部までサッカー部に属していた李さんは朝青チームに飛び入り参加し、勝利に貢献した。 何より李さんに衝撃を与えたのは障害を持つ南の選手たちの存在だった。「本当にできるのだろうかという先入観を抱いていたので、ルールを守ってボールを蹴っている姿にただただびっくりした」という。選手は10代後半から20代前半。同じ世代の同胞だ。 「障害を抱える同胞の友達が欲しい。組織やムジゲ会のネットワークを生かして探せばサッカーチームも夢じゃない」。観戦後、李さんは関係者に切願していたという。 一方、5月に在日同胞福祉連絡会代表団メンバーとして朝鮮を訪問した梁さんは、南の申監督に朝鮮における障害者の生活状況を説明したり、障害者の北南交流について意見を交わしていた。話は尽きず、申監督は「朝鮮の障害者にサッカーを教えたい」と夢を語ったという。 |