地域交流に貢献、定住外国人ボランティア

250の外国人団体が参加


 「定住外国人ボランティアネットワーク」は、日本で開かれるワールドカップに貢献し、さらにこれを契機に各地域での異文化交流を活発化しようという趣旨で昨年9月に発足。サッカー解説者のセルジオ越後氏らが共同呼びかけ人となっている。顧問はW杯日本組織委員会(JAWOC)事務総長代理で日本サッカー協会副会長の小倉純二氏が就任した。

 正式発足以来、ホームページなどを通じてボランティアを募集。個人参加では30余カ国、20言語、250人のエントリーがあったが、在日コリアンも同ネットワークの活動を積極的に支援した。

 決勝戦が行われた横浜では、思想信条を超え、同じ在日同胞としてこの活動に協力して取り組もうと神奈川県青商会、朝青神奈川県本部をはじめ、韓国神奈川青年会議所、神奈川韓国青年商工会、在日韓国青年会神奈川県本部の5団体が「KYK(コリアンユース神奈川)21」というひとつの名前で呼びかけ人になった。3月24日には他の開催地に先駆け定住外国人ボランティアネット初のプレイベントとして、「横浜定住外国人フットサルフェスタ」を開催し、外国人同士、地域住民同士の交流を深めた。

 W杯が開幕してからは試合開催地で交流イベントやサッカー教室を企画。通訳、道案内も買って出た。

 埼玉では試合当日の6月4日、さいたま新都心駅前広場で在日コリアン公演を開催。南の留学生らとともに朝鮮大学校、北関東朝鮮歌舞団、東京朝鮮歌舞団がテコンドー演武、踊り、歌などを披露した。公演のフィナーレでは朝大生と南からの留学生らが舞台で「アリラン」「われらの願い」を熱唱し、統一にかける思いを伝えた。

 また、茨城、新潟、群馬、栃木の朝鮮学校児童、生徒らは2日、新潟市が世界各国からの観光客を歓迎するために催したウェルカムパーティーとステージパフォーマンスに「アリラン」チームとして出演。30日には脳性マヒの障害を持つ日本と南朝鮮チームのサッカー交流試合を通訳、応援で盛り上げた。

 この間、定住外国人ボランティアネットが企画したイベントや活動に参加した外国人は500人。協力を寄せた外国人団体は250を超える。

 成炳晶・神奈川県青商会相談役は、「在日同胞の存在を世界にアピールできるいいチャンスだった」と振り返る。「日本に暮らす他の外国人の方々と親交を深め、喜びや悩みを共有し、大会後の幅広い交流拡大につなげていく」。今後に向けた意気込みだ。

 また、ネットワークを立ち上げたルポライターの姜誠さんは、「イベントにしろ通訳にしろ、人を集められるネットワークを持っているのは総聯や朝鮮学校。学校の存在ひとつとっても他の外国人には驚きだったようだ」と話していた。同ネットワークは22日に東京都内でシンポジウムを開く。

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