春・夏・秋・冬

 先日のケリー米大統領特使訪朝。ブッシュ政権登場後、中断状態にある対話再開の契機になるのではないかと関心を集めた。結果的には核査察の無条件即時受け入れや通常兵力の一方的な削減要求など、ブッシュ政権の対話再開提案がポーズに過ぎなかったことが明らかになった

▼朝鮮中央通信によると、ケリー特使は、米国側の要求を受け入れて朝鮮側が先に動かないと「対話も関係改善もないばかりか、朝・日関係、北南関係も破局に陥る」と威嚇的な態度まで取ったという(時事欄参照)

▼かつて、20世紀初頭には「砲艦外交」というものが存在した。軍事力に物をいわせて相手国を恫喝、屈服させ、治外法権、無関税など思い通りの外交関係を強要していった。ブッシュ政権の対朝鮮政策は、それを思い起こさせる。当然、朝鮮側は「傲慢無礼」と強く非難した。にもかかわらず、米国内では「成果があった」「前進」と評価する向きが多い。それも、そのほとんどは国務省関係者である

▼ブッシュ政権が軍事・外交政策を巡り、「悪の枢軸」に対し軍事攻撃を口にする国家安全保障会議・ペンタゴンと、対話と交渉でまずは相手を見極めるべきだとする国務省の寄り合い所帯から成っていることは知られている。今回、特使派遣をお膳立てした国務省がその成果を喧伝し強硬派をけん制―、案外、こう見るのが当たりかもしれない

▼というのも、国務省報道官は朝鮮側の強い非難に「なぜ国務省ナンバー3の訪朝だったのかを理解すべきだ」と悔しさいっぱいの会見をしているからだ。(彦)

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