憂慮すべき総聯過剰捜査

真相究明委発足  日本各界人士、市民ら集会

抗議声明発表、首相に申し入れ


朝鮮総聯に対する過剰捜査を憂う市民集会
(20日、東京・千代田区の日本教育会館)


 「朝鮮総聯に対する過剰捜査を憂う市民集会」が20日、東京・千代田区の日本教育会館で開かれた。集会では、集会の趣旨に全国150人以上の賛同者がいることが紹介され、床井茂弁護士、前田朗・東京造形大学教授、槙枝元文・朝鮮統一支持日本委員会議長、清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人会議連絡会代表を代表委員とする真相究明委員会を発足させることが明らかにされた。参加者らは朝銀問題を口実にした総聯中央への強制捜査、元財政局長の逮捕は不当だと抗議し、元財政局長の釈放と総聯中央本部などへの強制捜査について謝罪するよう求める声明を発表した。集会後、呼びかけ人代表らは声明を携え首相官邸に申し入れを行った。三浦正充・内閣官房長官秘書官が対応し、これを受理した。

弁護団が経過報告

 集会では呼びかけ人を代表し、槙枝元文議長があいさつした。

 槙枝議長は、朝鮮総聯は日本の植民地政策により日本に住むことになった在日朝鮮人が自主的に作った組織であり、国交がない中で唯一の朝鮮との窓口であって実質的には大使館と変わらないと述べ、「警察が踏み込むなんてあってはならない。日朝市民らの抗議は当然だ」と強調した。

 しかし反朝鮮のかけ声の中でこうした声はかき消され、他の金融機関に比べて過剰な捜査が行われていると指摘。過去への謝罪と補償を通じて日朝の友好関係を取り戻して行かなくてはならず、そのためにも声を強めていこうと呼びかけながら、こうした市民レベルの動きを報じないマスコミに対しても非難した。

 次に、「朝銀問題に関する公正捜査を求める弁護団」の吉峯啓晴主任弁護士が経過報告を行い、このたびの総聯に対する強制捜索および元財政局長逮捕の不当性について言及した(詳細は社会欄に)

 続いて山内恵子衆院議員(社民)が発言した。山内議員は、こうした事態の背景には小泉政権発足による日本社会の右傾化があると強調。捜査に名を借りた人権侵害は断じて許してはならないと述べた。

 また清水澄子代表は、総聯中央本部は在日朝鮮人の本拠地であり実質的な朝鮮の在外公館だとして、総聯を1度は捜査したかったというのが捜査当局の本音であると強調。「朝銀問題を口実にそれをやらせてしまった私たちの力不足を反省する。日本人としての責任を感じる」と述べた。

 そして、こうした集会を開かなくてはならない現状への憂慮を表明し、戦争へ向かう日本の動きが反朝鮮の動きと合流しないか心配でならないと話した。さらにテロ後の事態と関連して朝鮮と総聯の悪いイメージ作りに加担しているマスコミを批判し、こうしたすべての状況が日朝国交正常化への動きを後退させているとして、総聯弾圧の真相究明と抗議運動を全国に広げていこうと訴えた。

背景に朝鮮敵視政策

 続いて江原栄昭・新社会党東京都本部委員長が同党委員長代理として連帯のあいさつをし、同党が4日、小泉首相と野田警視総監あてに、総聯への不当な捜索と介入を中止して捜査上の誤認については謝罪し該当する逮捕者を即時釈放するよう求める要望書を提出したことについて紹介。今回の事態の背景には小泉政権発足後、日本が強権政治、軍事大国化への道を歩んでいることがあると強調し、1日も早い解決に向けてたたかおうと呼びかけた。

 日朝文化交流協会の清水潤事務局長は、総聯と朝銀、さらには在日同胞がなぜ存在するのかという本質的な問題から知る必要があると述べ、日朝友好と国交正常化のために力を合わせていこうと述べた。

 また横堀正一・日朝学術交流協会事務局長は、今回の事態の背景に米ブッシュ政権と日本の小泉政権があるとして、厳しく糾弾する必要があると指摘。さらに以前の総聯京都、大阪本部への不当弾圧、最近発覚した公安調査庁による外国人登録原票不当入手という人権侵害事件、いまだ真相究明がまったく進んでいない総聯千葉での放火虐殺事件、何かあるたびに起きるチマ・チョゴリ事件などについて言及し、日本における一連の反朝鮮敵視政策とマスコミを動員した大キャンペーンを強く非難した。

 そして、こうした問題をまずは日本人自身の課題としてとらえなおす必要があると強調し、連帯して立ち上がろうと訴えた。

 最後に、来ひんあいさつをした総聯中央の韓正治国際局長は、今回の事態の本質は総聯と同胞に対する政治的弾圧であり、総聯の尊厳を著しく傷つけ、総聯と同胞を離間させようという憂慮すべき策動だと指摘。各界人士ら多くの日本市民が集ったこの集会は当局に打撃を与える大きな意義を持っていると強調し、敬意と感謝を表明した。

日朝友好展運営委も

 文化交流を通じて日朝友好と国交正常化を促進しようと40年以上、日朝友好展を開いている神奈川の日朝友好展運営委員会は19日、総聯への強制捜索が在日朝鮮人の誇りを傷つけ今後の日朝関係に影響を及ぼすと憂慮する文書を発表した。

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