そこが知りたいQ&A

BSE(狂牛病)騒動  同胞業者はどう対応?

日本政府、自治体 緊急融資の活用を
新メニュー開発、盛りつけ工夫


 BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)問題と関連して、売り上げの減少など深刻な影響を受けている同胞焼肉業界。「津波にのまれた」(叙々苑の朴泰道社長)ような状況で、どのような対策が考えられるのか。Q&Aでまとめてみた。

  今回のBSE騒動は風評被害の側面が大きいという指摘が多い。実際はどうか。

  大切なのは正確な知識を提供することなのに、行政の対応のまずさやマスコミの過剰報道で「危険」「毒」といった側面だけが一人歩きしている感がある。BSEに犯された牛の肉骨粉をエサにしない限り、牛がBSEに感染することはないといわれている。それに、多くの焼肉店で使われている和牛は、穀物飼料を使っている。しかも、18日の日本政府による「安全宣言」以降は、シロと断定されない限り市場に牛が出回ることは一切なくなった。

 叙々苑、炭火焼肉トラジのように、ホームページを通じて安全性をアピールしている同胞業者も少なくない。参考になると思う。

  とは言え、消費者の牛肉への不信感が簡単には払拭(ふっしょく)されない状況で、焼肉業界は軒並み、大幅な売上減を強いられている。当座をしのぐための運転資金が必要だが。

  日本政府や地方自治体は、今回の騒動と関連して売り上げの減少など経済的影響を著しく受けている中小企業を対象に特別融資制度を実施している。

 農林水産省によるBSE関連つなぎ融資の場合、同胞が多く携わっている飲食店、食肉製品製造業、食肉販売業などに対しては1000万円以内で融資を行う。年利1.60%以内と、他の融資に比べ低利だ。

 東京都では25日から緊急融資を始めた。融資限度額は1企業1億円、1組合2億円。利率は年1.5%以下となっている。

 また、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会などでは相談窓口を設置し、中小企業者からの相談に応じている。影響を受ける中小企業者が別枠で信用保証を受けられる制度も適用している。武部農林水産大臣は、「風評等により大きな被害を受けた生産者や関係者の皆様が、1日も早く従来同様の経営に戻るよう、関係省庁とも連携して風評被害対策、経営安定対策等の対策を講じていく」と明言している。

 融資などの手続きや問い合わせは最寄りの都道府県朝鮮商工会、地域の朝鮮商工会に相談すると良いだろう。

  経営面で何かアドバイスできることは。

  今回の騒動の渦中、東京、北海道、神奈川、愛媛など各地の商工会、飲食業者協議会では独自にセミナーを開き、協力して事にあたることを話し合った。東京のセミナーでは、焼肉文化や朝鮮料理に詳しい滋賀県立大学の鄭大聲教授が講演したが、その中で豚肉や鶏を使った新メニューの開発を提案している。最近では、若い女性を中心にタッカルビやサムギョプサル(豚の三枚肉を使った焼肉)などに人気が集まっており、こうしたメニューを取り入れるのも一つの方法だ。

  各地のセミナー、飲食業者協議会ではどんな意見が出ているのか。

  サービス券配布による新規顧客の開拓、焼肉感謝祭などのキャンペーン実施、ビール業者とタイアップした宣伝、緊急融資の積極活用、メニューや盛り付けの工夫など、基本に立ち返った意見が目立った。とにかく、こういう時こそ同胞業者が互いに情報交換する場を多く設け、助け合って民族産業を守っていこうという意見で一致している。(経済・経営欄に農林水産省、東京都、大阪府など地方自治体の緊急融資制度を紹介。)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事