BSE(狂牛病)力合わせ対策を
東京、神奈川、愛媛、北海道など緊急のセミナー、業者協議会
BSE(牛海綿状脳症)=狂牛病が社会問題化し、焼肉をはじめとする同胞飲食業界にも売上の減少など深刻な影響が出ている中、各地の商工会では、緊急の集会やセミナーなどを相ついで開き、対応に全力を傾けている。また、農林水産省などは資金繰りの悪化など経済的影響を受けている店舗などに低利の特別融資を行うことになったが、その相談も各都道府県・地域の商工会などで受けつけている。 「食肉は安全」 東京都商工会では13日、「狂牛病と朝鮮料理焼肉店の今後を考える」と題して緊急セミナーを開いた。深刻な状況を反映して、焼肉店オーナーなど100人を超す聴衆が詰めかけた。 セミナーではまず、「焼肉は好きですか」などの著書で知られる滋賀県立大学人間文化学部の鄭大聲教授がBSEの発生原因、問題となっている肉骨粉飼料の日本での利用経過、対策などについて講演した。 鄭教授は、「食肉は安全」としながら、日本ではBSEに感染した牛を食べたことが原因によるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者は、現在のところ1人も見つかっていないと語った。 そして、原因をしっかり把握して対策を講じることが大切だと指摘し、料理の材料を代えたり新メニューを開発することなどを提案した。その方法として安全性が保障されている豚、鶏肉を使い、ちまたで人気のタッカルビやサムギョプサル(豚の三枚肉を使った焼肉)などを取り入れることなどを提起した。 そのうえで、こういう時こそ同胞業者間の横のつながりを大切にして、情報交換のための研究会などを開き、団結して問題にあたるべきだと強調した。 基本に忠実に 叙々苑代表取締役の朴泰道氏は、BSEの疑いを持たれた牛にシロの判定が出た件について触れながら、「あれは逆に効果があった。これで行政から安全宣言が出れば、売上も徐々に伸びていくだろう」と、参加者を力づけた。一方で、「こういう時こそ基本を忠実に守り、高度な味付け、きれいな盛り付けをこころがけるべきだ。新メニューの開発など日々の努力がものをいう」と語った。 会場からは多数の質問や意見が寄せられた。学校給食から牛肉が消えたという報道があってから、ファミリー客が減少し始めたとの発言について、「子供たちがビーフカレーをおいしく食べている姿が新聞などに出ればインパクトを与えられる」(朴代表取締役)と答えていた。 BSEは脳、脊髄、目、回腸遠位部(小腸の最後の部分)以外からの感染は認められていない。 叙々苑、炭火焼肉トラジをはじめとする同胞焼肉店では、ホームページなどを通じてこれら部位は一切取扱っていない点、安全な穀物飼料のみを使った牛肉を扱っている点を指摘し、食肉の安全性を訴えている。 現在、厚生労働省と農林水産省が協力して徹底検査にあたっており、安全と確認されたもの以外の牛は、食用としても飼料原料用としても出回っていない。 キャンペーンを
定期的な会合を持ち、店舗間の連携を深めている神奈川県同胞飲食業者協議会。11日に開かれた第6回会合でも参加者の関心事はBSE。講師に招かれた商工連の呉州棟副理事長は、直接的表現を使ったPOPはかえってリスクが高いと指摘。@日本当局の働きかけA緊急融資の活用B各店の経営対策に関するアドバイス、といった商工会の対応について述べた。 愛媛県でも同日、同胞焼肉業者の緊急集会が開かれ、この問題と関連した状況報告、緊急融資に関する説明、ディスカッションが行われた。今後の対策としては、@共同で広告を出して焼肉感謝祭などのキャンペーンを組むAビール業者とのタイアップ宣伝、といった意見が提起された。 北海道商工会では12日、飲食業者集会を開き、対策を討議した。(文聖姫記者) |