京都・ワンコリアイベントの
メインテーマ「白頭大幹」を提供

南のシンガーソングライター ハン・ドルさん

統一遂げる「礎」作った青年たち


 自身が作詞、作曲した歌謡「白頭大幹」を京都の「ワンコリアカウントダウン21」のメインテーマとして提供し、当日のイベントにも参加した南のシンガーソングライター・ハン・ドルさん(47)にインタビューした。(張慧純記者)

京都で発表できて良かった

 「白頭大幹」は、3年前に作った曲だ。ここ数年、中国側から白頭山(中国名長白山)に行き来してきたが、ある日、「民衆レベルでは、すでに統一は遂げられたのでは」と思い、曲を作ることにした。

 しかし、南北は半世紀以上も異なる社会体制を生きてきただけに、情緒も違う。同じ民族ということを感じられる共通の歌にしなければ、と統一後の祖国をイメージしながら曲を作った。「白頭大幹」の「大幹」とは「山脈」を意味する。白頭山から始まり、朝鮮半島を縦断する大山脈は決して断つことが出来ない、わが民族は1つでしかありえない、との思いを込めた。しかし、いつ、どこで歌を披露しようかと悩み、この歌を心で受け止めてくれる人たちを探していた。

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 北の地には2人の兄と姉がいる。朝鮮戦争の最中、咸鏡南道に住んでいた両親は、避難先を求め、南に向かった。しかし、戦禍の混乱の中、ついに故郷には戻れず、兄たちは今でも自分たちが捨てられたと思っているだろう。アボジとオモニは、「統一した日、自分たちが見捨てたのではなかったことを伝えて欲しい」との言葉を残し亡くなった。

 気持ちの上では1つになっているのに、会いたい人と会えない。それは、政治の壁のためだ。民族の痛みを1日も早く取り除くには歌しかない、そう思ってきた。

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 京都の青年たちのエネルギーは、私の想像を越えていた。会場はまさに統一された日のようにわきあがっていた。

 1つになることがどんなに素晴らしいことか、青年たちは行動で示してくれた。1つになることは、数が増えるだけではない、10にも20にもなりえる、その希望を与えてくれた。

 南でも「統一は必要か」と問われれば、ほぼ大多数の人たちが「そうだ」と答えるだろう。しかし、そのために行動するかといえば、違う。京都の青年たちは、自らが時代を切り開いたのだ。

 風に飛ばされたタンポポの綿毛は落ちる場所があってこそ、根を張ることができる。白頭山で見たタンポポの茎は短かったが、極寒の地で花を咲かせるため、長い根を張っていた。大事なことは、綿毛が落ちる場所があるかどうかだ。同胞たちには居場所が必要なのだと思う。

 当日の会場は、一面にタンポポの綿毛が舞い、一斉に花が咲き出すかのようだった。青年たちは、統一へ向かう同胞たちの「場所」を作りあげたのだ。このような地道な取り組みが統一を遂げる礎になる。

 心を大きく揺さぶられ、京都でこの曲を発表して本当に良かったと思った。新しい世紀を大きな希望をもって迎えることが出来た。京都の皆さん、本当にありがとう。

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