「韓国併合は必要だった」

時代錯誤の偏向教科書
「新しい歴史教科書作る会」



強制連行、創氏改名を黙殺
侵略、「アジア解放」と歪曲

 アジア諸国に対する日本の植民地支配を美化し、正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」が、このほど中学校社会科歴史分野の教科書を作成、文部省に検定を申請した。同教科書は、「太平洋戦争は侵略戦争ではない」ことを前提に、侵略や加害の事実を完全に黙殺している。文部省による検定作業は、来年3月に結果が判明するが、アジアの被害国からは同教科書に対する非難と、日本政府の毅然とした対応を求める声があがっている。

 「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」)が今年の四月に文部省に検定を申請したのは、2002年4月から始まる新教育課程で使用する中学校社会科教科書(「歴史的分野」と「公民的分野」)だ。産経新聞社が発行し、扶桑社が発売する予定だ。

 本紙編集部が入手した「つくる会」の教科書写本は、アジア諸国に対する侵略戦争を「大東亜戦争」と名付け、「アジアの解放を目的としたもの」とわい曲している。

 朝鮮半島を大陸から突き出た1本の腕と表現、「朝鮮半島は日本に絶えず突き付けられている凶器となりかねない」「朝鮮半島が日本に敵対的な大国の支配下に入れば日本を攻撃する格好の基地とな」るから、「韓国併合は日本の安全と防衛には必要だった」と植民地支配を正当化した。

 また「韓国併合」は「国際関係の原則に則り、合法的に行われた」もので、「東アジアを安定させる政策として欧米列強から支持された」と言い切っている。

 19世紀末から朝鮮侵略を計画的に企ててきた事実を覆い隠す一方で、「(中国、朝鮮は)日露戦争における日本の勝利によって近代国家をめざすナショナリズムに初めて目覚めた」「列強の脅威に対し、日本のように積極的な対応を行わなかった」と、徹底したべっ視観をさらけだしている。

 一方、「米軍は東京を空襲し約10万人殺害した」など、自国の被害の詳細な数字をあげて、被害者意識をあおる反面、朝鮮、中国、東南アジアからの人的、物的資源の略奪は黙殺している。強制連行、「従軍慰安婦」、創氏改名、3・1独立運動の弾圧など不都合な史実には一切言及していない。あるとすれば、「戦時下の国民生活」の最後に小さい活字で「日本が戦争で侵攻し、戦場となったアジア諸地域の人々にも大きな被害が出た」、「労働力不足を埋めるため徴用(植民地である台湾・朝鮮へも適用された)」という表現だけだ。

 侵略を否定するための方便として「侵略戦争」というコラムを設け、「定義もされず、感情的に使われてきた」と述べている。「戦争に善悪は付けがたい。どちらかが正義でどちらが不正という話ではない」との意図的な記述もある。(張慧純記者、関連記事

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