インターハイ重量挙げ
北海道朝高 朴徳貴が完全優勝
圧倒的強さ、次はアテネ五輪
北海道朝鮮初中高級学校の朴徳貴君(高3)が5日、岐阜県土岐市のセラトピア土岐で行われた全国高等学校総合体育大会(インターハイ)・第47回全国高等学校ウェイトリフティング競技選手権大会の105キロ級でスナッチ、ジャーク、トータルすべてで大会新記録を出し、パーフェクト優勝した。昨年に続いてインターハイ2連覇。また昨年、今年三月の全国選抜大会の優勝も合わせると、2年連続2冠の快挙を成し遂げた。なお、同校の「良哲(高3、94キロ級)もジャークとトータル部門で銅メダルを獲得した。この結果、北海道朝高は2人だけの出場にもかかわらず学校別対抗成績でも3位となった。
2年連続2冠、全部門で大会新 「勝って当たり前と思われているのは分かっていた」という朴。ライバルは「記録」だけだった。 スナッチ、ジャークの両競技ともに、朴が登場したのは14人中10人以上がすでに3回の試技を終えた後。まさに真打ち登場といった感じだ。ウェイトリフティング競技は基準記録から徐々に重量を上げていく。つまり、ほとんどの選手がリタイアした後、最後に登場するというのは、朴が1回目で挙げる重量ですら挙げられる選手がほとんどいないということだ。 2回目の試技で早々と優勝を決め、3回目で一気に大会記録更新という展開はスナッチ、ジャークともに同じだった。同胞らの大きな歓声とどよめきの中、出した記録はスナッチ130キロ、ジャーク160キロでトータル290キロのすべて大会新。2位以下を大きく引き離して文句無しの金3つだ。 1度の失敗もない。危うさも感じられない。パーフェクトとしか言いようのないたたかいぶりを、「すべてイメージ通り」と、朴は笑顔で振り返る。表彰台の一番高いところで見せる満面の笑顔とガッツポーズも、もう4回目になった。高級部最後の試合。やるだけやった。悔いはない。 「勝ち続けるのを期待されている状態は、正直言ってきつい部分もあった。おごらないようにと自分を戒めながら、練習に励んできた。今日勝って、ホッとしたというのが正直なところ。卒業後も大学へ進学し、競技を続ける。次の目標はインカレ、そして2004年のアテネ五輪だ」 試合後、北海道の家族や関係者、地元岐阜の同胞や生徒たち、そして取材陣にもみくちゃにされながら、笑顔で記念撮影や取材に応じていた。 在日本朝鮮人ウェイトリフティング協会会長でもある北海道初中高ウェイトリフティング部の金尋監督は今回の結果に満足しながらも「今後はもっと厳しい世界が待っているぞ」とハッパをかけていた。 一方の「良哲だが、85キロ級に出場した昨年のインターハイでは、44人中22位だった。しかしその後、猛練習を重ね、94キロ級に出場した今年三月の選抜大会では銅メダル獲得と急成長。最後の大会となる今大会には、朴とのダブル優勝を目指して気合いを入れて臨んだ。北海道を発つ前、自らの手で丸坊主にした青々した頭が、その意気込みを物語っていた。 しかし出足、得意とするスナッチでつまずいてしまった。3回目の試技で、練習では挙げている120キロに失敗。結局記録は115キロで6位となる。 それを挽回するため、「は勝負に出た。130キロから始めたジャークの試技3回目で、練習でも挙げたことのない145キロに果敢にチャレンジ。ぎりぎりのところで踏ん張って見事成功させ、ジャークの順位を3位とする。これによって、トータル(260キロ)3位となり、結果、銅メダル2つをもぎ取った。 「スナッチの失敗で1度メダルは駄目だと思ったので、結果には満足している。ジャークは気合で挙げた」と話す「も、朴と同様、大学へ進学して競技を続ける。が、2人の進学先は別々だ。 北海道朝高の新しい伝統を確固たるものにした2人。「今後もよきライバルでいたい」と声を揃える。(韓東賢記者) |