中大阪同胞のメーリングネットワーク

「KT―Net」発足

同胞社会にIT革命を


パソコン教室もオープン

Eメール通じて「新たな形の交流手段」

 「同胞社会にIT(情報技術)革命を」――。
  こんなスローガンを掲げたプロジェクトが、大阪で進められている。

  同胞パソコンユーザーを電子メールで結び、ネット上での情報交換を通じて交流を図ろうという、中大阪地域のメーリングネットワーク「KT   −Net」(ケーティーネット)。

  同胞社会でもITへの注目とニーズが高まるなか、組織的な同胞メーリングリストの作成は全国的にも初の試みとあって、関係者は「中大阪をネット発信基地に」と意欲的だ。

父兄の情報交換に

 KT−Netとは「コリアン・トンポ(同胞)ネット」の略語。中大阪同胞青年連合協議会(中大阪青商会結成準備委員会)を中心に、東成同胞生活相談綜合センター、城東同胞生活相談センター、中大阪朝鮮初中級学校などが運営準備を進めている。

  KT−Netを立ち上げたそもそものきっかけは、中大阪初中の卒業生が今年4月、「民族教育の発展と次世代に合った人材育成のため、学校発展に寄与したい」と、パソコン16台を同校に寄付したことから始まる。そのうち、生徒の父兄から「子供にパソコンを教えられるようになりたい」という声が上がり始めた。

 同校では6月に2度、父兄を対象にしたパソコンの無料体験教室を開いており、「それなら、パソコン教室を通じて父兄のネットワークを作り、同胞生活に役立つ情報をメールでやり取りできればと考えた」(高明秀・中大阪同胞青年連合協議会会長)。
 これがKT−Netと名付けられ、科協大阪支部など多くの協賛のもと、本格的な運営に向けて動き出した。

ビギナーにも易しく

 メーリングリストの作成には、肝心の会員が必要。KT−Netでは2つの募集方法を取っている。

 パソコンを持っている人には、協賛団体からユーザーに呼び掛けて入会を勧める。メールアドレスをすでに持っている人には、直接、メンバーズカードを発行し、メールアドレスをリストに登録、管理する。
  一方、パソコンを持っていない初心者や、持っていてもメールアドレスのない人については、パソコン教室の講義の中でメールアドレスを取得、それをもって入会することができるようにした。

 パソコン教室は、15日に中大阪初中のコンピュータ室で開講。1講座、約2時間で2000円という「専門学校の3分の一程度と格安」(高会長)の受講料の効果か、定員の15人を上回る大盛況となった。科協大阪の会員でコンピュータ専門学校の講師でもある理学博士の兪成周さんが講師を務めた。

 この日の内容は、メールアドレスの取得方法と、メールの背景にお気に入りの写真を透かして入れる「透かし便せん」の作り方。参加者のほとんどはまったくの初心者で、「ダブルクリックってどっちのボタンを押すんですか」といった率直な質問が飛び交ったが、丁寧な教え方で難しい操作を一つ一つ解説する兪さんの語り口に「さすがプロ」との声が多く上がった。

 初参加の孫孟荀さん(33、東成区在住)は、「同胞が教えてくれるので来やすいし、楽しい授業でためになった。遠くにいる同胞と連絡を取れれば、パソコンの面白さがより増すと思う」と、感想を語っていた。

会員1千人が目標

 KT−Netではサーバー(運営・管理の拠点)を中大阪初中に置き、会員のメールアドレスを管理。当面はパソコン教室の運営に力を入れつつ、メーリングリストの作成を進めていく。年内に1000人確保を目標にし、近くホームページも立ち上げる構えだ。

 パソコン教室では、インターネットと電子メールの使い方を中心に、毎週金曜日に開き、次週の水曜日には、参加できなかった人やより学びたい人のためのサポート講座を開く。夏には学生を対象にした短期集中講座も開く予定だ。

 総聯東成支部の金容俊委員長は、「パソコンを通じたネットワーク作りは、新たな形の同胞社会発展の手段。同胞ネットワークの拡大に向けて、中大阪が他地域の先べんを切れればと思う」と、抱負を語る。

  集まって直接会話する従来のコミュニケーションとは違った方向からのアプローチに、同胞の期待は高まっている。(柳成根記者)

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