ざいにち発コリアン社会

和歌山県の「那智ふだらく霊園」

同胞スタッフが親身に対応/「安心利用」をモットーに


 定住志向が強まるなか、日本で墓を建てようとする在日コリアンが増えている。しかし、悩みの種なのが、墓地の確保=霊園選びと墓石の建て方である。それ相応の出費を覚悟しなければならない。こうした悩みを親身になって解決してくれると評判なのが、古代から信仰を集めてきた日本第1の霊場、和歌山県・熊野にある「那智ふだらく霊園」。業界に精通した同胞スタッフらが、民族式の墓石の建て方から供養・管理に至るまで、きっちりと対応してくれる。全国有数の観光地、南紀に位置し、環境、交通の便も良い。

墓石、設計無料/寄付金なし
万全のアフターケア/チェサ(法事)も可能

由緒ある2寺が協力

 昔から、「冥府(よみのくに)」と呼ばれてきた由緒ある妙法山阿弥陀寺と、西国33ヵ所の霊場の発祥地として名高い那智山青岸渡寺。同霊園は、両寺の協力を得て1985年にオープンした。

 オーナーは、三重県商工会副会長で、米ヒューロン大学名誉博士(経済学)の宋島男さん。

 「日本で墓を構える同胞が増えているのは、祖国が分断されている状況下で、思うように故郷の墓に入ることができない人がいるからだ。それに2世、3世の間には、両親や祖父母の遺骨を日本で供養していこうとする定住志向の考えがある。だからといって、むやみに墓地を購入しても、失敗する。実際そういった話をよく耳にする。だから、民族式に墓石も建てられるなど同胞のニーズに応えながら安心して利用できる霊園を造りたかった」と、宋さんはオープンに踏み切った思いを語る。

宗旨宗派、国籍不問

 仏教やキリスト教、神道など、宗旨宗派、国籍は問わない。むろん帰化者もOKだ。寄付金は一切取らず、必要なのは永代使用料と管理費だけ。永代使用なので、名義変更さえすれば代々利用できる。

 墓地は全1073区画あり、約2割はすでに貸与されている。場所柄、東海・近畿地方の同胞らが多く利用しているという。

 区画は、1聖地(0.9メートル×0.9メートル)から8聖地(2.57メートル×2.57メートル)まであり、要望に応えて面積を拡大できる自由区画もある。1聖地の永代使用料は25万円で、年間管理費も5000円と良心的な価格だ。区画はすべて南向きで、参道も広くゆったりと幅がとられている。欠かせない水道は列ごとに設置されている。

 「管理事務所から霊園全体を見渡せるようになっているので、お参りに来たお年寄りが困っていれば、すぐに駆けつけられます。車での送迎サービスも行っており、事前に電話さえ頂ければ、駅(JR那智駅=3分、勝浦駅=5分)まですぐ迎えに行きます」(北澄輝雄所長)。

きずな深める場に

 墓石を造る石材部は、本紙3月3日付で取り上げたオリエント石材(本社加工工場=愛知県豊田市)会長の李洪均さんが担当している。朝鮮で「石博士」として知られている人物だ。石材は、日本だけでなく、朝鮮や中国をはじめ世界各国の物が使用できる。朝鮮半島古来の民族式の墓を建てることも可能だ。何年経ってもアフターケアはきっちりと行い、企画・設計は無料。

  また、ほかの墓地から墓を移設することも出来る。新しく建てる場合は、古い墓を供養する供養塔もある。

 8月に設置される新しい管理事務所では、チェサ(法事)を行うことも可能だ。

 霊園の一帯は、地元の小学生が写生などで訪れるほど、自然環境に恵まれている。

 また、周辺には勝浦温泉や名勝那智の滝などがあり、チェサの後、家族、親族で観光などを楽しめば、「家族、親族のきずなを深められる」(宋オーナー)。

 要望があれば、地域での説明会や現地見学会も実施する。

 問い合わせは TEL 07355・5・0212まで。 (羅基哲記者) 

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