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 NHKスペシャル「ミレニアム紀行・エルサレム・聖地に生きる」(8日放映)を見て、胸にじんと来るものがあった

▼ユダヤの王・ダビデが王国の首都として定めて以来、様々な国や民族と宗教がこの町を奪いあってきた。その歴史的経緯から現在、ユダヤの国・イスラエルが統治しているこの町の中心に立つ高さ10メートルの城壁に囲まれたダマスカス門の周囲には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教がそれぞれの教会や象徴の建物を建て信仰を唱え続けている

▼数千年の時を越えて、今なお人々の心を引きつけてやまないエルサレムの現実の姿の中で、最も胸に迫ったのはユダヤ教の最大の聖地「嘆きの壁」であった

▼紀元前1世紀、ローマ帝国の保護下にあったユダヤの神殿の一部で、故国を追われ、流浪の民(ディアスポラ)となったユダヤ人にとって、王国の栄華をしのばせる唯一の心の拠り所である

▼数千年の間、人々は民族を救う救世主・メシアの到来を信じて、壁に額を押しつけ、泣き声を上げながら祈り続け、今でも争いが絶えないこの地の平和を願って祈りを捧げている。映像の中で、ある信者はこう言った。「エルサレムで子孫たちが平和に暮らせる唯一の道は、互いに許しあい、認めあい、譲りあうことだ」

▼在日同胞も半世紀の間、目に見えない「分断の壁」に額をこすりつけ嘆き悲しみ、ひたすら統一を願ってきた。南北首脳会談を「政治ショー」とわい小化し、せせら笑う者がいかに多くても、同胞たちは統一を信じ何年、何十年とその実現を目指すであろう。 (舜)

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