朝鮮人道支援国際NGO会議

−パネリストの発言から−


援助の受給者は1/3のみ
キャシィ・ゼルベガ−(カリタス・インターナショナル)

 世界150ヵ国にネットワークを持つカリタス・インターナショナルでは、「韓国」のパートナーの要請に沿って援助を行っている。

 朝鮮には大洪水があった95年以来、27回訪れているが、食糧危機のピークは97年だった。国際支援と朝鮮政府の努力により、状況はわずかながら改善したものの、危機は終わっていない。

 国際的な食糧援助の受給者は、子供、高齢者、老人、病人、妊婦など最も脆弱な人々で、全体の3分の1。残る3分の2は自分の力で食糧を工面するしかない。

 これからは短期的な援助ではなく、食糧を安全に保障するための開発支援、農業に対する長期的な支援が必要だ。

 われわれは、4月に360万ドルの支援アピールを出し、現在、東海岸の3つの道を対象に肥料、種子など様々な物資を届けている。個人の農家のニーズに応えるため専門家も派遣している。

 長期的に現地を訪れて友好関係を構築することで、困窮した人々を助けることができる。また、関与、対話することのみ平和な朝鮮半島を実現できる。

同じ民族、助け会わねば
徐京錫(同胞助け合い運動執行委員長)

 この5年間、南のNGOが支援してきた額は7000万ドル相当になる。肥料、農薬、医薬品、本、コンピュータなど様々なアイテムが北に届けられた。

 北への支援は簡単なことではなかった。国民の反共感情が激しかったし、戦火を交えた政権を支援するといった反感も強かったからだ。

 しかし、食糧不足の情報が伝えられ、宗教家の間で「国民の力で助けられなかった」という罪の意識が広がり、97年から本格的な募金運動が進められるようになった。

 当初、当局は運動を弾圧したが、98年に金大中政権が発足して募金運動が合法化されるや、10の専門団体を中心に運動を進めるようになった。北への訪問も実現し、今年からは、政府がNGOに対する支援も行っている。

 民間募金は、人の心を変化させる力を持つ。支援を通じて、南の人々が北の体制を倒す意志がないことを伝えることができた。同じ民族同士、助け合わねば、という考えも広がった。

 先日、南北最高位級会談が開催されたが、これからNGOを通じた支援が活発になるだろう。

長期かつ大々的な支援
吉田康彦(埼玉大学教授)

 朝鮮が自然災害を被った95年に「北朝鮮人道支援の会」を結成し、米を支援する義援金を集め、毎年現地を訪れている。

 現在、朝鮮は最悪の時期を脱し、人道支援は中長期的な段階に入りつつある。

 朝鮮は農業復興のために2毛作や品種の改良など、様々な努力をしている。国連の助言も一生懸命聞く。2002年まで農業の自立は可能だろう。

 日朝国交正常化交渉が再開したが、日朝の間には相当な不信感がある。現在、国連機関とNGOで40〜50人、WFPは百数十人の規模で駐在させているが、日本人はいない。国交がないからだ。これで信頼関係が広がるはずがない。

 米の品種改良など、農業分野において、日本は様々なノウハウを持っている。1日も早く国交を樹立し、日本が長期的、大々的な支援をすれば、信頼される国になれる。

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