近づくグローバル化の波
南の自動車産業、外資交え激震
ねらうはアジア巨大市場
南朝鮮の自動車産業が、大きく動いている。97年の通貨危機に端を発した業界再編が大詰めを迎え、グローバル化の本格的な幕開けが近づいているからだ。また南北和解の機運は、アジア経済に新たなインパクトを与える可能性をはらむ。朝鮮半島を洗うグローバリゼーションの波を見る。
フォード、ルノー、ダイムラー ●
三つどもえ
大宇買収の入札にのぞんだ 三星釜山工場は現在、月産4000台。目標はその10倍を上回る野心的なものだ。20日には、資本提携先の日産自動車社長に、ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が正式に就任。同社のアジア戦略は、準備万端の観がある。 しかしながら、やはり経営破たんした大宇自動車の買収合戦の前では、ルノーの動きすら小さく見える。 再編のメインイベントとも言える大宇買収には、米ゼネラルモーターズ(GM)と伊フィアット、ダイムラークライスラー(独・米)と南の現代自動車がそれぞれ企業連合を組んで挑み、米フォードは単独で名乗りを上げた。
入札のため南を訪れたファイアット経営陣 世界の自動車産業にとって、中国、インド、インドネシアなど人口大国を抱えるアジアは、最後の成長市場と言われる。ここでのシェア獲得は、世界規模の競争で勝敗を決する要素にもつながりかねない。 合従連衡も目まぐるしい。南の企業でひとり躍進を続ける現代は、インド市場でも健闘。これを追撃しようと、大宇買収ではライバルのフィアットとフォードが、エンジン生産での協力を検討中とされる。 実はフィアットと平和は、すでに似たような事業の実績がある。フィアットはベトナムに、合弁子会社メコン・カンパニーを持ち、同社は数年前に平和から資本参加を受けた。 また、南の月刊誌「マル」のレポート(要旨別掲)によると、工場の着工式に参加した金容淳朝鮮労働党書記は、「15年以内に『世界的に質の高い車を作る国は共和国』と言われるようにしたい」と述べ、「自信がある」とまでつけ加えたという。 プロジェクトが成功するかどうかは、成り行きを見守るしかないが、大宇買収につまづいたフィアットにとっては、中国市場をにらむ重要な足掛かりとなる可能性も考えられる。 北の地に、南の資本が建てた工場で、イタリアの自動車が生産され、巨大なアジア市場に送り込まれる――ヒト・モノ・カネが国境を超えるグローバリゼーションの波が、雪解けを迎えつつある朝鮮半島に、早くも打ち寄せているようだ。 (金賢記者) |