トンポ(同胞)

金桂仙さん(50)
大阪音大3年に編入


音大教育に基づき学び、習いたかった

 今春、大阪音楽大学短期大学部音楽科2年から、大学3年次へ編入した。「高音になってギブアップするかと思っていても声を出し切る。長年培ってきた根性やろか」と、担任の天野春美教授も脱帽する。

 3月の卒業演奏会では、声楽専攻の生徒約100人の中の10人に選ばれ、プッチーニのオペラアリア「母もなしに」を熱唱した。これまで卒業演奏会に出演した同胞がいなかったわけではないが、チマ・チョゴリを着て本名で舞台に上がったのは金さんが初めてだ。

 6月2日には、音大卒業生など新人らが出演したコンサートで、イタリア歌曲「麗しい絵」や尹伊桑作曲「手紙」など3曲を披露。「すべての技量を出し切って全力投球した」と語る。

 ソプラノ特有の甲高い美声で、観客を魅了。「とても楽しく、観客の反応もよかったと思う。今後の活動への力と勇気を得た」と喜ぶ。

 大阪朝高卒業後、大阪朝鮮歌舞団、在日朝鮮中央芸術団、金剛山歌劇団団員として、全国各地を駆け回った。出産を機に、第1線から退いたが、歌の練習は続けてきた。

 音大短期大学部への入学を思い立ったのは、「50代をどう生きるか」ということを考えたから。「音大教育に基づき学び、理論的に声楽を習いたかった」

 授業が終わると、夫が営む飲食店の手伝いに家事、府下の各オモニコーラスサークルの講師など多忙なスケジュールが続く。何度も断念しかけたが、「民族教育で培ったバイタリティー、それに夫と子供らの理解、支援が支えとなった」。

 「若い人たちもあらゆるジャンルにチャレンジして、民族をアピールしてほしい」とメッセージを送る。 (羅基哲記者)

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