取材ノート
日本籍コリアンとの通路
横浜市立潮田小学校では、毎週土曜日にコリアンの児童たちが民族の文化に触れる「ツルミオリニ会」が開かれている。オリニ会に来ている岩田真実ちゃん(仮名)のお父さんは、日本国籍を取得したコリアンで、お母さんは日本人。愛きょうたっぷりの真実ちゃんの笑顔は、すぐさまカメラに収まった。 しかし、記事を納稿する時点になってハッとした。日本国籍で日本名を名乗る彼らが民族紙に紹介されることに抵抗はないだろうか…。真実ちゃんの連絡先を調べ、電話をかけた。 「かまいませんよ!」。お母さんは明るく答えてくれた。夫が日本国籍を取得した経緯や、ともに暮らす舅と姑の生活にも話が及んだ。「隠して生きている」と感じたのは、思い込みだったようだ。 「国籍や名前では朝鮮、韓国の子の気持ちはわからない。生活をみつめなきゃ」。オリニ会を主催する山本すみ子さん(元教員、61)の言葉を思い出した。日本国籍取得者や国際結婚の増加により、日本国籍で日本名を名乗るコリアンが増えている。現場で「オリニ会」のような取り組みが行われているのは、「目に見えない彼らの『声』を拾うため」(山本さん)だ。 しかし、「オリニ会」の周辺には、自分の本名、出自さえも知らない子供が多く存在する。 このことから横浜の教員らは、コリアンの子供が集う「横浜ハギハッキョ」を年に1度開催し、「コリアン探し」に務めている。今年、実行委員会に入った鶴見朝鮮初級学校教員の鄭恵さん(29)は、その場に朝鮮学校の子供も連れていきたいと話していた。日本学校に通うコリアン、朝鮮学校に学ぶコリアン、日本籍のコリアン…。様々な出会いが「自分探し」の一助になることを期待したい。(張慧純記者) |