歴史的な平壌対面と南北最高位級会談
金正日総書記、金大中大統領が13、14日に交わした談話
金正日総書記(国防委員長)と金大中大統領は14日午後、金大統領の宿所である百花園招待所で、単独首脳会談に先だって6分間ほど歓談した。また13日午前には、やはり百花園招待所で27分間、談話を交わした。ホストである総書記が、大統領によく語りかけ、大統領はゲストとしての立場を意識し、総書記の言葉を受けて南側の方針を丁寧に伝えたという。やり取りの内容は、以下のとおり。
(翻訳、文責・編集部) ――総書記 昨日、南側のテレビを遅くまで見ました。南側の人々もみな(会談を)歓迎していましたが、とくに失郷民、脱北者たちは涙を流しながら、この機に故郷の様子を知ることができるのではないかと思い焦がれていました。(金容淳書記に)実際に涙する場面が流れたんです。 ――大統領 (ソウルのプレスセンターに)外国の記者たち数百人が集まり、1000余人の記者たちが立ち上がって拍手したそうです。総書記が空港に出て、私たちが握手するのを見て。 ――総書記 私がそれほど大きな存在でしょうか。(空港には)あいさつしに行っただけです。欧州の人々は私に、なぜ隠遁生活をするのか、初めて現れたと言うのですが、私は中国、インドネシアにも非公式で幾度も行ってきたのにです。大統領が来られて解放されたと言うのですよ(笑い)。まあ、そう言われてもかまいません。非公開で行ってきたのですから。食事などはお口に合いますか。 ――大統領 食べ物は非常に美味しいです。 ―― 総書記 この間、中国に行ったらキムチが出たのですが、韓国式キムチが出たので大変だと思いました。南側の人々がキムチを世界中で有名にして、日本では「キムチ」と言われているのですが、北朝鮮のキムチはないのです。南朝鮮のキムチは少し塩辛くて、北朝鮮のキムチは水気が多いという違いがあります。 総書記 春夏秋冬を描いたものです(アジア太平洋平和委員会参事が『妙香山の春夏秋冬を描いたものです』と説明)。 ――総書記 (金容淳書記に)容淳書記、金大統領と同じ車で来たので、随行した長官たちとあいさつを交わせませんでした。(南側の公式随行員らに向け)平壌訪問を歓迎します。統一部長官はテレビで見て良く存じています。(朴智元・文化観光部長官に)首脳会談の南北合意の時、テレビでよく見ました。 ※金容淳書記に促され、林東源大統領特別補佐役が公式随行員を紹介。総書記は各長官が紹介される毎に「お会いできてうれしいです」とあいさつした。 ――総書記 非常に良い天気です。人民には一昨晩(11日)、大統領の順路を伝えました。大統領がどの順路を辿って百花園に来るかをです。準備関係を直前に伝えたので、外信はわれわれの準備が整わないから(大統領を1日)足留めしたとしていますが、違います。人民は非常に喜んでいます。御覧になればお分かりでしょうが、どこに不備があるでしょうか。 ――大統領 こんなに大歓迎され、驚くとともに感謝しています。北の地は一生、踏むことはないと思っていましたが、歓迎を受けて感慨無量です。感謝します。7000万民族の対話のために、ソウルと平壌はのどかな天気に恵まれました。民族的な慶事を祝っているようです。成功を予言しているようでもあります。 金正日委員長に心から感謝します。出迎えに出てくれた市民たちにも感謝します。 ――総書記 今朝、空港に向かう前にテレビを見ました。出発されるのを見て、空港に向かいました。朝の記者会見で半熟卵を半分だけ召し上がって出発されたと話しておられましたが、朝食を少ししか取らずにこられたのですか。 ――大統領 平壌で食事を美味しく食べられると思いそうしました(笑い)。 ――総書記 自慢せず、不備がないよう、おもてなしします。外国の元首も歓迎しますが、東方礼儀之国としての道徳をもっています。金大統領の訪北を歓迎しない理由はありません。礼節を重んじます。東方礼儀之国を誇りたくて、人民が大勢出てきました。金大統領の勇敢な訪北に対し、人民も勇んで飛び出してきたのです。 新聞とラジオでは、警護のために宣伝出来ませんでした。南側では広告をすればうまく行くのかも知れませんが、私たちは実利だけを追求すればいいのです。何故、北側ではテレビやラジオに余り出さず、黙々とやるのかと言われますが、不本意なことです。来て見れば分かることです。私たちがどんな気持で訪北を支持し、歓迎しているかよく御覧に入れます。 長官の皆さんも金大統領と一緒に、骨が折れ、不安な恐れもある道程を良く来られました。しかし、共産主義者にも道徳があり、私たちは同じ朝鮮民族です。(金容淳書記に)今日は(沿道に)どのくらい出てきましたか。 ――金容淳書記 60万人ほどになるようです。 ――総書記 私は40万人くらいのように見受けられましたが。 ――大統領 私は最初から恐れなどしませんでした(笑い)。総書記が空港まで出て来られたことに、改めて感謝します。誠意を感じました。沿道にあれほどの人波が出るとは。 ――総書記 一昨日に生放送で蓮池洞から迎賓館までの順路を知らせたら、女性らは祭りの時のようなきれいな服を着て出てきました。6月13日は歴史に堂々と記録される日です。 ――大統領 今からそういう歴史をつくって行きましょう。 ――総書記 午後からは公式に合意された日程で進みます。この百花園招待所は、主席が生前に名づけられたのですが、百種の花が咲くという意味です。1度、散歩がてらに見て回って下さい。主席が存命であれば、(百花園までの乗用車の席には)主席が座り、大統領を迎えたことでしょう。逝去の前まで、それが願いでした。 (94年に)金泳三大統領と会談をすることになった時、たくさんの要求があったといいます。国連にまで資料を求めたそうですが、その時に金泳三大統領と親しければ、直通電話1本で資料をすべてさしあげられたでしょう。今回は良い前例を残しました。これによってすべての関係を解決することを確信します。 ――大統領 同感です。これからは直接、連絡を取り合いましょう。 ――総書記 今、世界が注目しています。大統領がなぜ訪北したのか、総書記がなぜ受け入れたのという疑問です。2泊3日の間に答を出さねばなりません。そのための仕事に、大統領だけでなく長官たちも寄与されることを願います。 |