活性化する交流、協力
世界に示した統一コリア 北の代表団が、初めてソウルを訪れたのは、7.4南北共同声明が発表された約2ヵ月後、第2回南北赤十字本会談がソウルで開かれた72年の9月だった。 いまなら信じられないことだが、ソウル市民は北の代表団を見て「角がはえていない」と驚いたという。南での反北宣伝の一端と当時の南北の現実を物語るエピソードだが、以来、南北は、そのときどきの情勢によって中断を繰り返しながらも着実に交流を続け、和解へと歩んできた。 主だったものとしては、89年の林秀卿・全国大学生代表者協議会代表の訪北、90年からはじまった汎民族大会と同じ年に平壌とソウルでそれぞれ開かれた統一サッカー、統一音楽祭、91年のコリア卓球統一チームの活躍、92年の南北合意書の採択と98年の金剛山観光事業の開始、そして昨年、平壌で行われた南北労働者サッカー大会などが挙げられる。 平壌で開かれた第13回世界青年学生祭典に南側代表として参加した林秀卿さんは、各地で北の青年、学生と交流し、南北、海外青年学生の連帯意識を一気に盛り上げた。 統一チームコリアは、千葉で行われた第41回世界卓球選手権で、女子団体の部で優勝して世界中のコリアンに勇気と希望を与え、同時に統一コリアの威力を全世界に示した。 今月4日、ソウルで幕を開けた平壌サーカス団の公演では、出演者と1万2000余人の観客が「お会いできて嬉しいです」「我らの願いは統一」の歌を一緒にうたい、平和統一を誓ったし、先月の平壌学生少年芸術団のソウル公演は、「(平壌の子ども、青少年は)ソウルの同じ年頃だけでなく、大人にもなんの先入観なく自然に拍手し、歓呼する雰囲気」だった。 こうした交流によって南北は、「角がはえている敵」から、同じ民族であり、和解、団結の対象であることを確認しあったのだ。 朝鮮アジア太平洋平和委員会と現代グループとの金剛山観光事業を皮切りに、南北の本格的な経済協力が始まったが、このほかにも現代グループは、2万坪規模の工業団地造成、金剛山地域の海上ホテル、スキー、ゴルフ場建設計画を具体化している。 今年2月に南浦で着工式が行われた南朝鮮の平和自動車との合弁による平和自動車工場は、今年中に組立生産工場が完成する予定で、2006年には年産1万台の完成車を生産する。 南朝鮮の財界2位の三星グループも今年から朝鮮コンピュータセンターと共同でソフトウエア共同開発に着手し、今後10年間にわたって毎年5〜10億ドルを投資して50万坪規模の電子工業団地を造成する計画を持っている。 LGグループは、板門店に10億ドル規模の物流センター建設構想を持っているし、このほかにも中小企業や各地方自治体レベルでも具体的な事業案が持ち上がっている。 ちなみに南朝鮮の中小企業庁が先月28日に発表したところによると、中小企業の3分の2にあたる67%が、北との経済協力を積極的に表明している。 経済のグローバル化が進むなかで、南朝鮮は3年前に深刻な経済危機に陥った。過度の外貨借り入れが直接の原因だが、安い労働力で商品を作って売るという労働集約型経済は、もはや通用しなくなった。 日本という成熟した市場、中国という巨大な市場に恵まれているにもかかわらず、技術は日本に、人件費は東南アジア諸国にそれぞれ遅れをとっている南朝鮮にとって、北との経済協力は死活をかけた問題でもあるわけで、それが南北経済協力の活性化という形になって現れているのだ。 (元英哲記者) |