国連女性2000年会議
ニューヨーク

「貧困の女性化」どう克服

◇世界女性会議の流れ◇

1997年 メキシコ会議「平等、発展、平和」の達成に向けたメキシコ宣言採択

1976年 国連婦人10年(〜85)

1980年 コペンハーゲン会議「女性差別撤廃条約」52国署名

1982年 国連に女子差別撤廃委員会(CEDAW)設置

1985年 ナイロビ会議「女性の地位向上のための将来戦略」採択

1995年 北京会議12項目にわたる行動網領採択

2000年 国連女性2000年会議


  貧困、教育、政治参加など12項目の分野で各国政府が取り組む行動綱領を掲げた北京世界女性会議から5年。今世紀最後の「国連特別総会・女性2000年会議」が5日からニューヨークで開幕した。ここで世界女性会議の歩みと課題について見てみよう。

大国のエゴ宗教の対立

 経済の急速なグローバル化やIT(情報技術)革命の進展によって、新しい問題が生まれている。競争や効率によって動いている経済システムなので、弱肉強食の傾向がより強まっているのだ。タイや中国の例を見るまでもなく経済発展が貧富の格差を生み、人身売買などが広がっている。一方で、家族や中絶、人権や核兵器廃絶などのテーマでは大国のエゴや宗教の対立が色濃い影を落としている。

 アナン国連事務総長は5日の開幕演説で「グローバル化は、技術を身につけた労働者にとっては有利だが、そうでない労働者には不利に働く」と指摘した。国連のまとめによるとインターネット利用者は99年で約2億人。このうち、米国とカナダ、欧州の利用者が80%を占めるのに対し、アフリカは0.8%。未就学児童の66%が女子で読み書きできない成人の64%が女性であることを考えると途上国の女性たちがIT革命からいかに取り残されているか分かる。ますます「貧困の女性化」(北京会議行動綱領)に拍車がかかっているのが現状なのだ。

 今、世界中に絶対的貧困層と呼ばれる人々、つまり明日食べるものもない、飲み水もない、住む家もないというような極端に貧しい人びとは10億人以上にもなる。人類57億人のうち10億人が人間として最低限必要なものさえない生活を強いられている。国連開発計画(UNDP)は、そのうちの7割が女性であると指摘している。このような貧困の構造的な原因は何なのか。誰に責任があるのか。今回の女性会議でも「女性の貧困化」をどう克服するかが焦点の一つとなろう。

「女性に対する暴力」への取り組み 

 さらにニユーヨーク会議では、女性の人権や女性差別、ジェンダー(社会的・文化的性差)の問題がもう1つの大きな柱となるだろう。93年にウィーンで開かれた世界人権会議で採択されたウィーン宣言・行動計画に女性の人権という新しい考え方が盛り込まれて、そのなかで女性に対する暴力が女性の人権侵害の核として位置づけられた。

 当然米軍占領の下で、恒常的な苦痛と暴力を受けている南朝鮮や沖縄の女性たちの「米軍撤退要求」がクローズアップするだろう。

 5年前の北京女性会議では、「従軍慰安婦」問題が議論され、国家責任を回避する日本政府に、南北朝鮮女性はもとより世界各国の女性たちの怒りが集中した。ニューヨークでも日本政府は国際世論の批判を浴びることになるだろう。

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