春・夏・秋・冬 |
余韻覚めぬ金正日総書記の中国非公式訪問。来週はいよいよ、南北最高位級会談が開かれる。「12日から会談」「総書記は8月15日にもソウル訪問」などの情報が巡っている
▼分断されたままのわが祖国の地にも、ようやく待ち焦がれた春が訪れ、その瞬間をこの目で確かめ実感できる時代に生きていることの喜びを噛みしめているのは、筆者1人だけではないだろう ▼その時間の長さゆえ、ややもすれば気持ちが冷めがちになることも否めない。94年7月に予定されていた最高位級会談、総書記はその次に論議されていたソウルに、軍事境界線で切断されたままの鉄道を復旧、つないで金日成主席を列車で送り出す考えだったという話を耳にしたことがある ▼この話は、南北最高位級会談はまず、分断した南北を1つにする輪郭を見せてくれる、ということを示唆している。そこには、一般的にマスコミが指摘する「経済支援」「体制維持」うんぬんという狭小な分野のテーマが入り込む余地はない ▼ここで念頭に置かなければならないのは、21世紀を目前にした時代にあって、大きなサイクルの中で会談を見る視点だと思う。スムーズに事が進めばよし、少しつまずいたところで悲観しないことだ。55年間も分断されてきたのだから ▼朝米の橋渡し役もしてきたナムクン氏は、総書記訪中について「支援を取り付けるためのものとしてではなく、…戦略的な動きととらえるべきだ」とコメントしていたが、その通りだろう。大きな枠組の中で見ないと、見えるものも見えなくなってしまう。 (彦) |