飲み水はミネラルウォーター

「生活と水」変わる消費者の意識


★濃口から薄口へ好み移行
★「まずい水道水」への不安
★「水に金使う」抵抗薄らぐ 

 水は、人間が生きていくうえで決して欠かせないものだ。その水が今、日本で商品として「売れている」。調理用や水割り用ではなく、純粋に飲み水としてミネラルウォーターを買う人が増え、生産量は右肩上がりを続けている。普及の現状を見た。

10年で10万kl

 日本ミネラルウォーター協会によると、ミネラルウォーターを手掛ける日本のメーカーは約400社、国産銘柄は約450種類。市場シェアは国産品が約84%を占める。

 ミネラルウォーターが日本でも馴染みのある言葉になったのは、大手食品各社が「○○のおいしい水」などの名称で販売を始めた1990年ごろのことだ。

 これを境に、国産品の生産量は急増する。88年までは9万キロリットル後を推移する程度だったが、89年に10キロリットルを突破するや勢いを増し、昨年は約95万6000キロリットルと10倍近い伸びを見せた。輸入品を含めると約113万キロリットルと大台に乗っている(統計は同協会)。

 外国客が泊まるホテルに置くなど、業務用が主だったミネラルウォーターも、今や「購入層の9割近くが一般家庭」と言われるほど、生活に定着した。インターネットで注文を取ったり、宅配サービスを行うなど、買い方も様々だ。

中身に安心感

 こうした背景には、水に対する消費者の意識の変化がある。同協会専務理事の三好薔薇さんは、3つの消費者心理を指摘する。

 1つは、飲み物に対するし好の変化。健康志向が叫ばれる昨今、日本では「濃口」から「薄口」へと好みが移る傾向にある。飲み物についても例外でなく、薄味を意識的に追求した結果、水にたどり着いた。

 次に、強い安全・安心志向がある。水道水が「味がまずい」「臭い」と感じる原因は、消毒に使われる塩素などの化学物質にある。発ガン性物質のトリハロメタンが生成されることも知られ、消費者は水道水に強い危険を感じるようになった。その点、天然のミネラルウォーターは、成分表示もあって、中身への安心感を与えた。

 「水を買う」ことへの抵抗が薄らいだこともある。生水をじかに飲んだり、喫茶店で水がタダで出て来る日本では、お金を払って水を飲む習慣はなかった。一方、外国では衛生面などを理由に「飲み水はミネラルウォーター」が一般的だ。日本でも近年、海外に行く機会が増え、水を買う違和感は減ってきたようだ。

「金剛山の泉」

 ミネラルウォーターの需要は今後、ますます高まると、三好さんは予測する。「日本での1人当たりのミネラルウォーター消費量は約8.9リットル。茶飲料類で最も飲まれているウーロン茶が約10リットルなので、生産量の増加率から推測すると、3〜4年のうちにウーロン茶に追い付くはずです」

 朝鮮産のミネラルウォーターも、日本で飲むことができる。東京都新宿区の同胞商社「有限会社ミロク」が輸入を手掛ける「金剛山の泉」(問い合わせはドリームセラー、TEL 0120・052・146)がそれだ。金剛山の山脈から湧き出るミネラル豊富な天然鉱泉水で、世界の基準を上回る、おいしくて健康に良いミネラルウォーターと評判の1品だ。  (柳成根記者)

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