行ってみませんか

 名寄公園(北海道名寄市)


帰国者の碑と100本の桜並木 

 日本各地には在日同胞ゆかりの地が少なくない。ここ北海道名寄市の名寄公園もその1つ。入口には高さ約1メートルの小さな記念碑がある。目を凝らすと「朝鮮民主主義人民共和国帰國者記念櫻植樹 在日朝鮮人名寄帰國者集団 1961年3月8日」と刻まれた文字が雨風にさらされた碑の表面からうっすらと浮かび上がる。

 この碑は1959年12月に始まった帰国船で朝鮮に帰る人たちのために何か記念になるものをと、総聯北海道旭川支部名寄分会の同胞らが名寄公園に桜の木100本を寄植した際に建立された。当時、同分会の分会長を務め、現在も市内に住む鄭丁浩さん(85)は「総連も民団も関係なく、地域の朝鮮人みんなでお金を集めて桜の苗木を百本買いました」と語る。北海道の遅い春を彩る100本の桜並木を散策しながら、今も息づく在日同胞の歴史に想いをはせてみてはどうだろう。ひっそりとたたずむ木々の1本にそっと手を触れると、彼らの声が聞こえてくるような気がする。 (花)

 名寄市は札幌から約220キロ北上したところに位置する。100本の桜が満開になるのは5月を過ぎてから。夏は東京ドーム2つ分の大きさを誇るひまわり畑、冬はサンピラー現象(ダイヤモンドダストに太陽光線が反射し、光の柱が立ちのぼる現象)が楽しめる。温泉やスキー場もある。アスパラも有名で今が旬だそうだ。問い合わせは同市役所観光課(TEL 01654・3・2111)まで。

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