みんなの健康Q&A

高血圧 (2)
治療はどうするのか−
趙輝栄さん/共和病院副院長循環器、内科


食事・運動で生活改善、息長く
降圧薬でコントロール、発生を予防

 Q 高血圧の治療目的は何ですか。

  今日では、高血圧患者のほとんどは、降圧薬や生活様式の改善により、血圧を容易に下げることができるようになりました。しかし高血圧治療の目的は、単に血圧を下げることにあるのではありません。血圧を下げることによって脳、心臓、腎臓の合併症を防止することです。

 最近までの多くの研究から、降圧薬の内服などにより血圧を140/85mmHg未満にコントロールすると、脳血管障害や心不全などの発生を予防できることが明らかにされました。

  降圧の目標はどうなっているのですか。

  これまでの世界の研究結果から現在では、血圧値を140/85mmHg未満にコントロールすることが良いと考えられています。

 ただし60歳以上の高齢者の場合は、降圧目標レベルを高めにする方が良いとされ、最大血圧値は(年齢+80)mmHg以下(例・70歳なら150mmHg以下)に、最小血圧値は年齢を問わず90mmHg未満に下げることを目安にすれば良いでしょう。

 Q 治療について教えてください。

  治療にあたって、まず心がけて欲しいことは決して素人判断でしないことです。必ず医師にかかって、良く指導を受け十分理解して治療を続けましょう。

 高血圧が軽い場合、まず生活様式の改善をすることになります。塩分は高血圧の原因の1つですから、塩分を多く含んだ食品を控え目にし、薄味に努めて食塩摂取量を1日7グラム位にしましょう。

 運動も血圧を下げるので、運動不足の人は車、バスに乗るのを減らして毎日多く歩くことや、階段を出来るだけ使い、軽い体操などをしましょう。肥満は血圧を上げるので、肥満の人は魚、豆腐、野菜、海草、少なめの肉などバランス良く食べながら食事量を1割位少なく食べましょう。すぐに減量を望めないので、1年以上を目安に気長に続けることが重要です。

  それでも血圧が下がらない場合はどうすればいいのですか。

 A 高血圧が重症な場合や、生活習慣の改善によっても血圧が目標値に達しない場合、降圧薬を服用することが必要です。降圧薬は数多く出回っていますが、七種類位に分類されます。1999年WHO・ISHの提案した合併症などによる降圧薬選択指針は別表の通りです

 表を参考にして患者の合併症状などを考えて望ましい薬が選ばれ、処方されます。降圧薬は通常、まず1剤から始められ、効果、副作用などをみながら、継続か変更かを決め、必要に応じて2〜3剤の併用などして血圧値を目標値にコントロールします。

 薬の内容は状態により変更することもありますが、薬の服用はほとんどの場合、一生続けることになります。そのため服用している薬の名前、作用様式、副作用を担当医師、薬剤師から説明を受け十分に知っておくことが重要です。

 決して自己判断で降圧薬の服用量、服用時間を変更したり高血圧治療を中断してはいけません。長期間の治療になりますので信頼できる医師について、力を合わせて息長く治療を続け活動的な毎日を過ごすようにしましょう。(大阪市生野区勝山南4丁目16―10。TEL06・6718・2221)

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