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南北最高位級会談の行方は


(8日、AP.WWP提供)


和解、協力の転換的契機に
自主、平和統一、民族大団結を再確認

  南北最高位級会談が6月に開かれるという発表に驚き、その実現を心から願っている。ただ、いきなりの発表だったが。

  報道を総合すると、南北当局は昨年末から水面下で接触を続けてきた。また94年7月、金日成主席の逝去によって南北最高位級会談が実現できなくなった際、北側代表の金容淳統一政策委員長は「会談を延期せざるを得なくなった」と南側に通知している。最高位級会談に関する合意事項は有効だというわけだ。

 だから今回の合意は、決して唐突なものではなく、南北双方の努力と真しな協議の末に生み出されたと言える。

  突発的な事件が起きて、金大中大統領の平壌訪問が実現できなくなるのではという懸念も一部にはあるが。

  突発事件が起きるとすれば、考えられるのは「安企部」(現国家情報院)や南北の和解に反対する勢力の策動だろう。94年のときも「安企部」は、「救国前衛」という地下組織を摘発したと発表して反北キャンペーンを繰り広げた。今回も北の祖国平和統一委員会や労働新聞が、「安企部」の南北対話介入に警鐘を鳴らしている。

  金正日総書記と金大中大統領との歴史的な出会い、および最高位級会談では、どのような問題が話し合われるのか。

  具体的に明らかになったものはない。ただ、金正日総書記と金大中大統領との出会いが、南北関係改善と祖国統一問題の画期的な契機になることは間違いない。

 合意書の前文には、「7.4南北共同声明で明らかにされた祖国統一3大原則を再確認しながら、民族の和解と団合、交流と協力、平和と統一を早めるため」と明記されている。

 よって南北最高位級会談は、反目と対決の関係を和解と団合、協力関係へと転換する契機になるだろう。

  南側では北側が金大中大統領の「ベルリン宣言を受け入れた」とか「太陽政策に応じた」とか言っているが。

  近視眼的に見るのは禁物だ。「太陽政策の成果」だとか騒ぐのは、一方が一方を負かしたとかの対決志向的発想だ。そんな考えを持っている限り、反目と対決を和解と協力へ転換することができない。

 あえて言うと、南北最高位級会談を開催して祖国統一の転換的局面を開こうというのは、北側の終始一貫した立場だ。

 金日成主席は、72年に平壌を訪れた南側特使に祖国統一3大原則を提示して南北共同声明を築いた。そして南北共同声明が発表された後、北側は、幾度となく最高位級会談の開催を公式、非公式に南側に提議し、金日成主席が逝去した後も合意事項が有効であることを伝えている。

 金正日総書記は97年8月に発表した労作、「偉大な首領金日成同志の祖国統一遺訓を徹底して貫徹しよう」で、「民族的良心を持って統一のために立ち上がる人ならば、いかなる思想と信仰をもとうと、また彼が資本家であろうが、軍の将軍であろうが、執権上層にいようが関係なく、ともに手を携えて行くことができる」と明らかにしている。

 この労作は、南朝鮮で「大統領」選挙(12月)が行われる前に発表された。

 また98年4月14日の書簡「全民族が団結して祖国の自主的平和統一を達成しよう」で、金正日総書記は再度、南朝鮮執権上層部や与野党人士、大資本家、軍人らも民族共同の利益を大切に思い、国の統一を願うのなら、彼らとも民族大団結の旗印の下に団結するだろうと明らかにしている。

 そして昨年2月、朝鮮政府、政党、団体連合会議は南北高位級政治会談の開催を南側に提案した。

 こうした北側の一連の努力が今回の南北最高位級会談の開催合意となって実を結んだと言えよう。

  日本のマスコミなどは、朝鮮が経済的困窮から抜け出すために会談に応じたという見方を示しているが。

  前述したように、北側は自主、民族大団結という大所高所にたって南北関係の改善を進めている。今回、南北が合意に至ったのは、その要件がそろったからで、決して経済的問題が主ではない。

  要件がそろったというのは。

  南北が自主、平和統一、民族大団結という祖国統一3大原則を再確認したということだ。

  南では、北側のインフラ整備など経済協力問題が会談で話し合われるだろうと報じているが。

  どういう問題を話し合うのかは、最高位級が判断する問題だが、常識的にはインフラがどうのこうのという問題は、最高位級会談での議題には相応しくないように思われる。それよりももっと大きな問題、現在の南北対決状態をいかにして和解、協力関係、そして自主、平和統一へと転換させるかという問題が話し合われるのではないか。

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