知っていますかー朝鮮半島 なんでもはじめて
食 事
平和時2食、戦時は3食/固有のハシとサジの使用
朝鮮半島では身近な人と、「食事は済みましたか」と、朝夕のあいさつを交わす。食事を取ることは、1日の生活のなかで大きな位置を占めている。 食事は三国時代から1日、2〜3食、現在と変わらない回数だった。平和の時は2食、戦時は3食、そして王家は3食だった。 そのなかでは朝、夕、昼の順に重きが置かれた。御飯、スープ、各種のおかずでしっかりと朝食を食べる習慣は、パンなど簡単に済ませる今も根強いものがある。また誕生日、還暦などの祝いを朝食で行うのは、朝食重視の名残である。 昼食は、「チョムシム」(点心)と呼ばれるように、御飯よりも麺類や饅頭など、粉を使った食事を簡単に取ることが多かった。 食事の際、老人、年配者、客人にはそれぞれ別の膳が準備された。 食事はチョッカラ(ハシ)とスッカラ(サジ)をセットで用いた。これは朝鮮民族独特のものである。御飯、スープはサジで、おかずをつまむのにハシを使った。食事を続けている時にはサジは食器にかけて置き、食事を終えた時に膳に置く。 世界を見渡すと、イスラム圏などは右手で食べる(左手は蔑視し絶対に使わない)。中国、日本、ベトナムなど漢字文化圏はハシである。欧米のキリスト教文化圏はナイフとフォークを使う。 しかし、ヨーロッパもルネッサンスの頃までは手を使った。イギリス女王のエリザベス1世、フランスのルイ14世たちは手で食事をした。 実は、中国も周の時代には手で食事をしており(「礼記」曲礼編)、日本も同じだった(「魏志」倭人伝)。 朝鮮半島では、前述の三国時代や楽浪時代の古墳からもハシとサジがワンセットで出土している。その習慣が非常に古いものであることがわかる。 ちなみに、ヨーロッパでサジが登場するようになったのは、19世紀。それまでは「愛を告白する道具(言葉の代わり)」、あるいは洗礼の時に保証人からの贈り物として用いられた。 |