今の日本人は、継承される差別意識の中で
朝鮮人をただ毛嫌いしている
関東大震災の朝鮮人虐殺を目撃した養老静江さん
石原発言を聞いて、すぐ思い出した人がいた。5年前、95歳で亡くなるまで現役の小児科医だった養老静江さんだ。著名な解剖学者養老孟司氏の母でもある。 記者が訪ねたのは、開業して約60年になる鎌倉駅前の医院。亡くなる1年前の94歳の時で、ベッドに横たわりながら患者を診ていた。頭脳は鮮明、言葉も明瞭だった。 養老さんは東京女子医専を出て、1923年に、東京帝国大学医学部小児科に勤務した。この年に起きた関東大震災の朝鮮人虐殺を、居合わせた横浜本牧の海辺で目撃したと詳しく語ってくれた。 「海辺で手に手に武器を持った10人程の男の集団が、必死に逃げる男性を追いかけていました。追いつめられたその人は浅瀬の海に駆け込みました。一番先に追いついた男は長いツルハシを振り上げると、逃げる男性の脳天めがけて力いっぱい打ち下ろしました。血が噴水のように飛び散り、その後も寄ってたかってメッタ打ち。海水を真っ赤に染めてその男性は沈んでいきました。彼らが『朝鮮人が暴動を起こして井戸に毒を入れ回っている』という流言に踊らされて、殺人を犯したのを後で知りました」 「もう、70年経ったからあんなことは起きないはずだと思っていたら、朝鮮学校の女生徒のチマ・チョゴリが切り裂かれる事件が頻発している。まだ、そんなことが残っているのが許せない」 日本社会に根を下ろす朝鮮人差別、蔑視観について、「大人が子供にろくなことを伝えないから差別がなくならない。ただ毛嫌いしている。島国根性なんですよ」と怒っていた。「三国人が凶悪な犯罪を繰り返している」と無神経発言の石原さん、独りよがりで悦に入る前に、いい加減、「島国根性」から脱皮してね。 (粉) |