くらしの周辺

性暴力との闘い


 日本法務省の最近の調査によると、強かん未遂や強制わいせつ行為、セクシュアル・ハラスメントなどの性的暴力を受けた被害者のうち、警察に届け出た人は1割に満たなかったという。

 この結果は、警察や司法に対する不信感があることも事実だが、訴え出ることによっていっそう傷つくことへの恐れがいまだに根強いことを示している。横山ノック・大阪府知事を辞職に追いこみ、嘘をついていたことを認めさせた女子大生の事例は、残念ながら極めて異例のことと言わねばならない。

 性暴力とは強者が弱者に性的関係を強要する行為である。強者とは「男性・抑圧者」、弱者とは「女性・被抑圧者」であったし、今もほとんどの場合そうである。これは、家父長制度、封建的桎梏などによって長年、培われてきた男性優位、男性中心の規範と価値観が今も支配的であることを象徴している。

 東京・BOX東中野で上映されている、元「従軍慰安婦」の記録映画「息づかい」のピョン・ヨンジュ監督は、「性暴力、性差別は過去の問題ではなく、ハルモニたちが、そして私たちが抱える今の問題」と指摘する。

 「従軍慰安婦」は告発の闘いの中で性奴隷と規定された。その過程で、ハルモニたちは尊厳を奪還し、新たな生を獲得した。

 現在の性暴力に対しても、決して「泣き寝入り」してはなるまい。告発し、闘うことは、すなわち強者優位、強者中心の社会の既存の規範と価値観を覆す始まりなのだから。(趙)

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