みんなの健康Q&A
高血圧 (1)
−脳や心臓、血管に負担ー
趙輝栄さん/共和病院副院長循環器、内科
新しいWHO/ISH(1999)の血圧レベルの定義と分類
収縮期血圧と拡張期血圧が別々の分類に入る場合には、 より高い分類のほうを採用する。 放置すれば脳出血、心不全など引き起こす Q 高血圧の怖さについて教えて下さい。 A 高血圧という言葉を知らない人はほとんどいないと思います。しかし高血圧の怖さについて十分、認識していない人は多いのではないでしょうか。 数日前のことですが、45歳の男性が受診にきました。「少ししんどいので」との事でしたが、血圧を測ると220〜130mmHgと著しく高い値を示しました。自分の血圧の高いことは知っていましたが、それほど、重大な事とは考えないで放置してきたとのことでした。 もう1つ、数年前の出来事ですが、43歳の男性が腰痛のため来院し、たまたま高血圧を指摘され、腰痛と高血圧の治療を受けていました。2ヵ月ほど治療を受けて、腰痛が大分良くなったので、仕事も忙しくなったためか来院しなくなりました。そして、その3ヵ月後、高血圧性脳出血を発症し、救急車で運び込まれてきました。治療で一命は取り止めましたが、その後、右半身麻痺になり仕事の出来ない不自由な身体になってしまいました。この様な不幸な例は少なくありません。 Q 高血圧には自覚症状はないのですか。 A ほとんどの場合、自覚症状がなかったり、あっても軽いものです。 A 高血圧者のうち90%の人の原因は、詳しく検査をしても不明と言われています。 ただ原因を知り得る場合の一部は、外科的治療などにより完治する事が出来ます。そのため私たち医師は、その疑いがある場合、積極的に検査をするように努めています。 Q 高血圧という診断基準はどうなっているのですか。 A この数年間で高血圧の基準は世界的に大きく変わりました。 これまで高血圧の基準は、160〜95mmHg以上と言われて来ました。しかし93年以降、140〜90mmHg以上は高血圧と定められました。この基準に従うと4〜5人に1人は高血圧になります。 そして世界保健機関(WHO)と国際高血圧学会(ISH)は共同で99年に表に示すような新しい血圧レベルの定義と分類を発表しました。 また高血圧の危険度を考える時、血圧値の高さと同時に他の心血管危険因子も評価する必要があります。 タバコ、高コレステロール血症、糖尿病などの危険因子が高血圧に加わると、その危険度が著しく増すので、その対策も同時に考える事が必要となるとともに、高血圧をよりいっそう治療する事が求められます。 Q 家庭でも血圧を測る人が増えているようですが。 A 指や手首で測る血圧測定器は不正確なので使わないほうがよいでしょう。上腕で測定するものを使いましょう。家庭血圧値125〜80mmHgは、病院の血圧値140〜90mmHgに相当すると言われています。家庭血圧値125〜80mmHg以上は高血圧の疑いありと言えるでしょう。(大阪市生野区勝山南4丁目16―10。06・6718・2221) |