−戦争の記憶対話集会−

「石原発言」に批判集中


 石原慎太郎東京都知事の「三国人」差別発言に対し、在日同胞を初めとした日本各界の批判が相次いでいる中、「断絶の世紀 証言の時代―『戦争の記憶』をめぐる対話集会」が15日、東京ウィメンズ・プラザホールで開かれた。

 300余人が集まった集会では、戦争の記憶をめぐる応答責任の重要性と、日本社会が直面している危機の諸相を論じた「断絶の世紀 証言の時代」(徐京植、高橋哲哉・岩波書店)を手がかりにしながら、論議が深められた。

 集会の第1部では、政治学者・石田雄氏、静岡文化芸術大学教員・李孝徳氏、立命館大学教員・岡野八代氏、一橋大学言語社会研究科博士課程在学中の金慶允氏がそれぞれの立場で問題提起を行った。

 彼らは、石原氏の発言に対して単に批判を加えるだけでなく、戦争の被害者と加害者の間の深い「断絶」を乗り越えるためには「正義」という基準線にしたがって、人権を侵してきた人の記憶からの問いかけに応え、人間の尊厳を回復する行動を行っていくことが大事だと強調した。

 第2部で 徐京植氏は、「もはや、関東大震災の悲劇は2度と起こらないという主張にどれだけの説得力があるか。この事件に対する真相究明と責任者処罰がなされていない現状のもとで、断絶を越えることはできない。新しい次元での連帯を実現するためには、歴史の闇を直視し、他者と出会い、向き合い、共にぬくもりを分かち合う記憶を構築していかなければならない」と、強調した。

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