知っていますかー朝鮮半島 なんでもはじめて


高麗時代から普及

1字が全体の90%を占める


  朝鮮半島において、今日のような姓が使われるようになったのは三国時代になってからのことだといわれている。それも王族、貴族に限られていた。それが高麗時代になって、一般化し広く庶民も姓を使うようになった。

 この欄でも取り上げた族譜(チョッポ)の様式が整えられるに連れて、「行列字」が普及した。

 これは同じ一族の同じ世代の人間が、木火土金水の5行の順に従って一字を共有することによって一族内の世代の序列を明らかにするもので、個人の固有名は残りの1字によって示される。

行例でわかる一族の上下関係

 例を上げて説明すると、朝鮮民族の1000万人近くを占める金海金氏の有力派の1つ、三賢派の行列字はつぎのようになっている。67代「昌○」、68代「○斗」、69代「容○」、70代「○坤」、71代「鍾○」。3賢派で金成坤という人がいるとすると、彼は70代の人間であることがわかる。

 また、行列字は上下が入れ替わっている。このことによって、行列字を見るだけで、一族の上下関係がわかるようになっている。
 残り1字の固有名は、かつては子供の出生後、100日目ぐらいに祖父、父あるいは漢文の見識のある親戚の者がつけた。命名に当たっては、祖先や上世代の者がすでに用いた字を避け、字画数や音感などが考慮された。

  また実名とは別に、子供の時期には日常生活で用いる幼児名をつけることが多かった。福をたくさん授かるように、強く健やかにという願いを込めたものや、女の子の場合には従順に育つように、といった意味合いを持った名前が一般的だった。

 現在では、名前は呼ばれるのが普通だが、朝鮮半島では年長者、成人女性・既婚者の名前を呼ぶことは避けられた。

  前者に対しては親族の名称を用いたり、後者の場合、既婚者であれば出身地の名を使って「ソウル宅」とか、また子供の名前をつけて「成哲のオモニ」と呼ばれるのが多かった。

  夫婦、恋人同士の場合は、「あなた」を意味する「タンシン」、「ヨボ」と呼ぶ。

  結婚する場合も、同姓で本貫(ポングワン=姓の出身地)が同じ者は結婚しないという原則があり、女性は結婚後も改姓しない。

 朝鮮の姓は朴、金、李などの1字の姓が全体の90%を占めているが、南宮、西門などの2字姓も存在する。

  李朝末期の「増補文献備考」には、朝鮮全体で496姓があると記されているが、1930年の国勢調査では256姓だった。減ったのは、2字姓の者たちが金などの1字姓に改姓したからだと指摘されている。 

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