春・夏・秋・冬

 ソウルから2年ぶりに来日した友人が「期待する方がバカだ」と、吐き捨てるように言った。13日に投票が行われる南朝鮮の選挙のことだ。選挙史上初めて市民グループが「不適格議員」の落選運動を行うなど、運動がかつてない盛り上がりを見せているので、尋ねたのだが、意外な答えに驚いた

▼2年と1ヵ月半前に会った時、彼は「韓国は変わる」と、まくし立てていた。「DJ(金大中)が大統領になったから」というのが、その理由。先頭に立ってDJの当選に奔走し、ついに念願の「政権交代」を果たしたのだから当然なのだが、その豹変ぶりには、とまどいを覚える。この2年間にいったい何があったのか

▼「IMF危機も乗り切ったし、非転向政治犯も釈放した。それなりに頑張ってるじゃないか」「うわべはそうだ。でも、すべて自分のためにやっている。ほとんどの市民がそれに気付いていないから腹が立つのさ」「だって、落選運動とか市民運動も盛り上がってるじゃないか」「彼は落選運動を操って自分の気に入らない連中を切り捨てているんだよ」

▼「YS(金泳三)は在任中、経実連(市民団体)を使って世論を操作しようとした。DJは参与連帯(落選運動の中心的市民団体)を使って地盤を固めようとしている。クリーンな選挙と言うが、与野を問わず演説会では、相変わらず金品が配られているし、まったく同じだよ」

▼わずか2年間で友人は親DJから反DJへと変ぼうした。彼の話はにわかに信じがたいが、かといって、軽はずみで物事を判断する人物ではない。その答えは選挙後に出るだろう。 (元) 

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