歌と演劇、サムルノリ、農楽、タルチュム―私たちコリアン!
日本の中学、高校に通う同胞学生
年間活動締めくくり、各地でコンサート
日本の中学、高校に通う在日同胞生徒たちの集まりである日校在学朝鮮人学生会のコンサートが3月20〜28」日にかけて東京、京都、兵庫の各地で行われた。1年間を締めくくる意味も込められたコンサートでは、学生会を卒業する高校3年生たちの告白、本名を名乗ることの意義を訴えた演劇、民族衣装をまとってのサムルノリやタルチュムなど、この日のために用意した演目が披露され、会場から盛んな拍手と声援を浴びていた。 (関連記事)
東京/身につく朝鮮人…感慨深い 茶髪、ロン毛、厚底ブーツ……客席は今風の若者たちでぎっしり埋まった。場内には携帯電話の呼び出し音があちこちで鳴り響く。9回目を迎えた東京学生会のコンサート会場、北区滝野川会館大ホールには28日、500人を超える観客が集まった。 「コリアンハクセン一致団結、僕らのやらなきゃ」と題した公演は、歌謡メドレーで幕を開けた。続いて、この日に学生会を卒業する高3が歌と寸劇で3年間を振り返り、民族舞踊、サムルノリ、農楽の舞と続く。 圧巻は演劇「本物の夢」。将来を嘱望された陸上ランナーが、日本名で走ることを条件に駅伝の名門大学からスカウトされるが、最後は本名で駅伝に参加するというストーリーだ。 明治大学商学部の山脇啓造助教授(39)は、「脚本がプロ並み。演出や音響、そして役者の演技もうまい。これは、たった1回の公演ではもったいない。ビデオにとって授業で学生たちに見せたいと思った」と感想を寄せた。 公演の最後は、出演者全員による合唱「東京学生会の歌」だ。高3の女子生徒たちは涙で顔をグショグショにさせながらも、自分たちの3年間を吐露するかのように精一杯歌った。 出演者の1人で北区志村高校2年・朴智恵さんの父、英導さん(49)は、「朝鮮人としての生き方が子供に身についていくのを見ると感慨深い」と語った。 (文聖姫記者) 京都/愛らしい民族衣装姿の娘 京都日校生と朝青京都府本部メンバーによる総合文化公演「第22回みんなのためのコンサート」は26日、京都産業会館シルクホールで行われ、約350人が詰めかけた。これまでは日校生が主体となってきたが、今回は朝青員、青年学校と児童教室の受講生らも出演者に加わり、文字どおり「みんなのための」ものとなった。 公演の第1部は創作劇「バンテージ」、第2部は小学生から社会人まで参加する歌と踊りのアンサンブルだった。2部の公演では、今春京都府立北嵯峨高校を卒業し、神戸大に進学した崔煥扶君(18)が手記を発表した。本名で通学していた崔君は転校を機に、小3で日本名を名乗るようになる。「日本名で通った方がいい」との担任の一言がきっかけだったが、現在、崔君は朝鮮人として堂々と生きる道を選んだ。手記には、学生会を通じて成長してきた過程を綴った。 公演では、右京土曜児童教室受講生らのチャンダンノリ、京都朝中高声楽部の重唱、学生会メンバーによるタルチュムなど多彩な演目が披露された。 公演に出演した娘の李真乃さん(中3)と抱き合って涙を流していた鄭勝美さん(45)は、「初めて民族衣装を着て踊る娘の姿は本当に愛らしい。これからも朝鮮人であるという基本を忘れず育ってくれれば」と話していた。(崔彗順記者) 兵庫/本名宣言テーマに演劇 兵庫朝鮮学生会が出演する第14回目のコンサート「クロスロード―進むべき道」は20日、明石市民会館中ホールで開かれ、400余人が観覧した。 今、交差点のど真ん中に立つ同胞生徒たちの前に広がっているいくつもの道。そこから進むべき道を模索する学生会メンバーの心境が込められている。一部では、このクロスロードをテーマに生徒代表がスピーチ。朝鮮人として生きて行くと宣言した。 また、自分が通う学校の先生に促されたのをきっかけに、学生会の友人たちと話し合う過程で本名宣言をするようになる主人公の姿を描いた創作劇「進むべき道」が披露された。 30代の日本人教員は、日本名で育って来た人が民族名を名乗る時の悩みを改めて考えさせられた、などの感想を述べた。 2部では重唱、舞踊、バンド、サムルノリなどのアンサンブル公演や神戸朝高吹奏楽部の友情出演もあり、多彩な公演で客席の絶賛を博していた。【朝青兵庫】 |