日校学生会の公演から


東京/自らの姿、等身大で描いた演劇
朝鮮人で悩むこともあるけど、みんなで分かち合える

 「私さ、母親が日本人で、結局離婚しちゃったじゃない。だからって訳じゃないけど絶対チョソンサラと結婚したいんだ」

 「コーチ! 賭けをしませんか?…今度、ウチらで駅伝大会をやるんですよ。メンバーはこいつらです。分の悪い勝負だけど、もし優勝することが出来たならば、俺がリ・サンドとして走れるよう、計らってもらえませんか?」

 3月28日に東京・北区滝野川会館で行われた日校在学朝鮮人東京学生会の9回目のコンサート。演劇「本物の夢」で吐かれる数々の台詞は、日校生たちの置かれた様々な境遇、彼らの考え方をストレートに描き出していた。

 例えば、「学生会に参加しなければ、朝鮮人だということで余計な悩みを抱える必要がないんじゃないか」というセリフがある。

 東京学生会会長の全弘恭君(聖学院高校3年)は、「朝鮮人であることで必ずどこかで悩む。学生会に入れば、その悩みをみんなで分かち合える」と話す。

 コンサートでは歌謡メドレー、サムノリなども披露された。千葉日本大学第1中学校3年の朴盛男君(15)は、「駅伝に勝てば本名で走れるという約束が守られて良かった」と語った。

 荒川商業定時制4年生の梁照光君(18)は、学校の先生に薦められて初めて観に来た。

 「民族の血が騒ぐ。僕はチャンゴが大好きなので、サムノリが良かった」

 30代後半の日本人教員は、「日本に住む朝鮮人の若者が等身大に描かれていた」と感想を寄せた。

 母親が在日朝鮮人2世というある3世の高校生は、自分はここにいたらきっと心の中の事を素直に言えると思う、せっかく朝鮮の血が流れているのだから、少しでも学生会に参加したい、と述べた。  (聖)

京都/本当の心のバンテージは今日の公演が答え

 日校在学朝鮮人京都学生会メンバーらが出演した「第22回みんなのためのコンサート」第1部では創作劇「バンテージ」が舞台に上がった。

 朝鮮人であるという「劣等感」をハングリー精神に変えて、ボクシングの府代表に選ばれる主人公スナ。朝鮮人というだけでいじめを受けているピョンウ。朝鮮人であることを隠してきたマネージャーの高田。雑誌の企画で朝高生スンミと対談したのを機に、3人の心が交錯する。

 劇中、スンミが言う。

 「バンテージはグローブに隠れて表から見えないが、しっかり巻かないと身を守ることもできないし、きいたパンチも打てない。…自分からも、新しい出会いからも逃げるんじゃなく、真っ向から立ち向かうために巻く。心にバンテージを…」

 スナを演じた宋基央君(17、私立洛南高校3年)は、「本当の心のバンテージはどうなのか。それは今日の公演が答えです」と語った。 (崔)

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