平壌レポート
有名な「歌好きファミリー」
仲良く楽しく家庭生活を
疲れ吹き飛び力わく
黄海北道黄州郡黄州邑に住むパク・チョンナムさん(44)一家は、パクさんと妻のソク・ホンウォンさん(42)、15歳の息子と13歳の娘の4人家族。近所では「歌好きファミリー」として有名だ。 毎晩、家族4人が揃うと「歌合戦」が始まる。父と娘、母と息子がそれぞれペアを組む混声二重唱対決や、父と息子、母と娘がペアを組む男女対決など、そのバリエーションは多彩。ギターで伴奏をつけるのは息子さんの仕事だ。 「家庭生活が楽しくないと、食も進まないし、仕事もうまくいかないでしょう」と、ソクさんは語る。 パクさん一家は、資本主義諸国の経済封鎖と相次ぐ自然災害によって数年続いた「苦難の行軍」の時期を、こうした明るさで切り抜けてきた。 「生活が苦しいからといって希望を失い、心まで暗くなってはいけない。昔から朝鮮民族は楽天的な民族だと言うでしょう」と、パクさんは言う。 「苦難の行軍」は脱したものの、生活は今も苦しい。電力不足による停電も日常茶飯事だ。しかし、1日の仕事を終えて家族みんなで歌を歌うと、仕事の疲れも吹き飛び、力がわいてくるという。 近所で何か祝いごとがあれば、「地域の名歌手」として必ず呼ばれるというパクさん。しかし、とくに小さな頃から歌に親しんでいたわけではない。歌をよく歌うようになったのは、友人たちと過ごした青春時代だ。「夜な夜な集まってはみんなで歌い、踊り、本当に楽しく過ごした」。 数年前、朝鮮で大人気だったテレビ番組に、家族対抗歌合戦があった。 「またそんな番組が始まったらぜひ出演し、息の合った歌でわが家の仲のよさを全国の視聴者に見てもらいたい」と、パクさんは笑顔で話していた。 (千貴裕記者) |