春・夏・秋・冬

 読者にとって、わかりづらく見えにくいニュースの1つに外交交渉がある。国益に関わる事項だけに、秘密に付される場合が多く、公開されたとしても、全容のほんの一部だったりする

▼陣容も内容もレベルアップするために、断続的にニューヨークで行われている朝米会談もそうだ。秋には米大統領選挙もあるとあって、見えにくい。悲観する必要はないが、楽観は禁物だ。なぜなら、朝鮮を自らのシステムの中に取り込むという、米国の戦略がはっきりとしているからだ。だから、勝ち負け論議は論外で、それこそ国交樹立後の忍耐ある外交戦略が問われてくるのではないか

▼しかし、朝米関係は徐々にではあるが、確実に変化している。3年余り戦火を交えその後、半世紀近くも積み上げられてきた敵対感情を和らげ、その距離を埋めていこうという努力が変化をもたらしている

▼3月、オレゴン州が朝鮮にリンゴの木の苗1万本を贈った。窓口になった米国最大のNGO(非政府団体)、マーシイ・コープス(MC)が中旬に貨物飛行機をチャーターしてアラスカ経由で平壌に運び、平安南道の西海岸に隣接する協同農場に植えた

▼苗が実をつけるのは3年後である。この間、MCは技術支援も行う。その一環として、今月下旬に協同農場関係者がオレゴン州を訪れ、研修を受けるという。6月にはMC側が再び現地を訪問するとも

▼「1日も早く、実を結んでくれることに越したことはないが、それ以上に、互いが1つになって実をつけさせようという過程が必ず、根強い敵対心を和らげることにつながる」(MC関係者)。(彦)

 

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