取材ノート

ネットワークの今と昔


 イギリスに、こんな論議があるらしい。

 先進国であるイギリスには、国家や国民の財産というものについて言えば、他国にあるものは基本的に何でもある。道路などのインフラは全土に完備され、国語である英語は世界で通じる。しかし当のイギリス人に言わせると、あるにはあるが、それらはすべて18、19世紀に築かれたもので、20世紀に作られたものはほとんどない。敢えて言えばビートルズだけ、となるようだ。ブレア首相はこれを受けて、時代に合った魅力あるインフラの整備を政策として推進している。

 確かに、例えば道路などは、乗り物が馬車から自動車に変わり、交通量の増大に従って作り直さねばならない。今では、地下に高速通信用のケーブルが通っていなければ、先進国の経済を支えるインフラとは言い難いだろう。

 同胞社会では、支部、学校、朝銀、商工会などがネットワークのインフラに当たる。しかし、あるにはあるが、それらはどれだけ、ネットワークとして機能しているだろうか。

 昔は、全国各地に築かれた拠点で、同じスローガンを掲げ、同じシナリオに基づき、同じタイミングで権利獲得などの運動を繰り広げることがネットワークの役割だった。今はそういう大衆運動の時代も終りを告げ、多様で個別具体的なニーズを満たすために、多彩な機能を柔軟に組み合わせることが必要になっている。

 各地の総聯支部では、同胞のための総合的な相談窓口が開設されているが、これがネットの再構築につながることが期待される。ただ、企業が高度な情報技術を駆使し、顧客を巧みに自らのネットにつなげる今の時代、魅力あるネットの構築が、ハンパな仕事でないのは確かだ。(金賢記者)  

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