年金改正法成立で何が変わる?
受給年齢、段階的に引上
厚生年金額5%カット
在職高齢者も保険負担
衆院本会議で先月28日に可決された年金制度改正関連法。将来もらえる支給額の水準を抑えることを柱にし、支給開始年齢の引き上げや保険料負担の増減などが段階的に実施される。改正の主な内容を見た。
今月1月から実施、将来の受取額2割減 年金は、日本に住む20歳以上60歳未満であれば基本的に全員が入る国民年金と、サラリーマンが対象の厚生年金(または共済年金)の2段構えになっている。 自営業者などサラリーマンではない人は国民年金だけ入り、定額の保険料を支払ったうえで、定額の基礎年金だけをもらう。サラリーマンは国民年金に加え、会社を通じて厚生年金にも入り、給料の額に応じた報酬比例の保険料を支払ったうえで、基礎年金と厚生年金の両方をもらえる。 これが今回、どのように改正されるのか。今月から実施されるものから、30年かけて実施されるものまで様々だ(別表参照)。 主に手が加えられるのは、支払う保険料の額によって受取額が変わる、厚生年金に関する部分だ。支給額の水準が5%引き下げられることで、将来の受取額が「現在より約2割減少する」(日本経済新聞3月29日付)と見られる。 現行制度では、年金を受け取れる年齢は基礎年金、厚生年金ともに60歳だが、このうち基礎年金については、2001年度から13年度(女性は5年遅れ)にかけて段階的に65歳に引き上げられることが、前回の改正(1994年)ですでに決まっている。 今回の改正では、厚生年金も2013年度から25年度(女性は5年遅れ)にかけて段階的に引き上げられることが決まった。したがって、今月1日時点で38歳未満の男性と33歳未満の女性は、原則的に65歳までは年金をもらえない。 保険料負担にも変化が見られる。65歳から69歳までの人も、在職中で収入があれば厚生年金の保険料を支払わなければならない。一方で国民年金については、低所得の自営業者の保険料を半額免除する制度と、学生を対象に10年以内を条件に保険料の「出世払い」を認める制度が、新たに導入される。 日本政府は、今回の改正の目的について、「少子高齢化が進むのに伴い、支給額の水準を維持するために、働く世代の保険料負担が増すのを避けるため」だとしている。だが、保険料の支払額が増えない代わり、年金の額も抑えられるうえ、65歳までもらえなくなる。 5年後の改正では、今回は見送られた保険料率の引き上げが行われると見られており、私たちの暮らしにも大きな影響を与えそうだ。 (柳成根記者)
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