NPO法人 ライフボート(東京・池袋)
昨年12月に認証、弁護士ら会員60人
生活相談から心のカウンセリングまで
ボランティア活動の一環として、人権、福祉問題などの生活無料相談を受け付けているライフボート。同会は昨年12月、一昨年3月に成立したNPO法(特定非営利活動促進法)に基づき、NPO法人の認証を受けた。その活動内容と、認証を受けるまでの経緯などについて取材してみた。
行政との対応スムーズに 活動内容は、カウンセラーによる生活相談などが主だ。会員が相談を受けて解決するだけでなく、専門領域にわたる相談については、そのほかの専門家への橋渡しもする。 会を立ち上げた、常務理事で事務局長の関根裕三さん(53)は、20年間、弁護士として働いてきた。 「弁護士はとにかく忙しかった。親身になって、純粋にボランティア的な部分で人権問題を扱いたかった」と、今はライフボートの活動に追われる日々を送っている。 相談の受付は原則的には来所によるが、なかには電話で名前や住所も告げずに、2、3時間ほど生活上の不満をぶちまける人もいる。 「日常生活の悩みは何も法的なものだけとは限らないし、専門家のちょっとしたアドバイスで解決するものもある」と、関根さんは言う。 最近の相談は、商工ローン絡みのトラブル、欧米などでは頻繁な、精神・心の問題が多く、病院を紹介したり、専門のカウンセリングを受けるようにアドバイスしている。 また、弁護士法、税理士法などによって、資格の無い人は法律的な結論を出すことはできない。だから専門家を紹介する際、ライフボートの責任になるので、慎重にしているとのことだ。 ライフボートがNPO法人の認証を受けようと思ったのは、ボランティアの名目ですべてを片付けず、顔がきちんと見え、資金面を含むすべてを公明正大にし、社会的に認知された団体だということを会員に示すことによって、会をさらに充実させていこうとしたからだった。 実際、事務所の所在地である豊島区が発行している区民だよりに、会の活動について掲載を申し込んだところ、NPO法人として認証されているかを問われたことがあった。賛同者や寄付を集う時も、同様の問い合わせを受けたことがあった。 NPO法人のにむけて、定款(組織・活動について定めた根本規則。法人の認証を受ける際に各都道府県に提出する)を作成することはさほど大変ではなかったが、一度不認証となり、認証を受けるまで1年かかった。 認証後は、何よりも信用度が格段に増し、その結果、行政、公共の機関との対応がスムーズになったことが最大のメリットとなった。 活動に規制、税の優遇処置なし 池袋という無国籍的な地域柄、ライフボートには色々な国籍の人が相談に訪れる。だから、朝鮮語、英語、中国語などで対応できる体制を取っている。 今後は多様な相談に対応していけるよう、専門家会員や同じような会とのつながり・交流も行っていきたいとしている。会の幅を広げる一環として昨年8月、ジュネーブで行われた国連人権委員会に他のNGO(非政府組織)とともに参加し、日本を外から眺めてもみた。 だが、関根さんは今後NPO法人として活動の幅を広げるためには、問題点があると指摘する。NPOとしての活動に規制があること、税制面での優遇措置が施されていないことだ。 「真面目に活動する団体への支援をまず、第1に考えるべきだ。経済的に弁護士を雇える人と雇えない人がいる。無償でないと相談できない人たちのためにボランティアで活動する会も必要」だからだ。(関根さん) 個人でなく団体である以上、今後は、後進の育成と賛同者を増やしていくために尽力したいと抱負を語っていた。 ライフボート=東京都豊島区西池袋1―28―6、TEL 03・5951・3105 (金美嶺記者) |