遺伝子組み換えで成人病予防稲発見
農水省研究チーム
農水省農業生物資源研究所遺伝子操作研究室(茨城県つくば市)を中心とする研究チームがこのほど、動脈硬化などの原因になるコレステロールを減らし、成人病(生活習慣病)の予防ができるという新品種のイネの開発に成功した。
遺伝子組み換え技術で、大豆から血中のコレステロールを抑える働きのあるグリシニンという物質を作る遺伝子を取り出してイネの遺伝子に組み込んだところ、収穫したコメの8〜9%にグリシニンが含まれていた。研究はすでに温室栽培による収穫まで進み、2001年には野外の田んぼで試験栽培を開始する。
ただ、時間をかけて交配を繰り返す伝統的な品種改良と違い、遺伝子組み換え作物には、健康や環境にどんな影響が出るか分からないと、安全性を懸念する声もある。
同研究チームはこのほかにも、鉄分をため込む働きのあるダイズフェリチン遺伝子を導入した組み換えイネの開発にも成功。鶏の卵白にあるアルブミン遺伝子を導入した高血圧対策イネや、歯周病や糖尿病などの研究も進めている。