もうすぐ4月、新入生と家族へのアドバイス
あと1週間もすれば4月、入学シーズンだ。新入生やその家族は期待と不安に揺れ動いている時期だろう。初級部、高級部の新入生とその家族、また朝大、日本の大学に入る新入生に向け、入学に際しての心構えや有意義な学校生活を送るためのアドバイスを集めてみた。20余年の初級部教員生活を通じて1年生の担任をこれまで15回務めてきた北海道朝鮮初中高級学校の姜和淑先生(50)、中・高合わせて教員生活37年、先日も担任した高3を送り出したばかりの神奈川朝鮮初中高級学校の李武男先生(60)、また大学生はいずれも現役3年生の朝鮮大学校政治経済学部の鄭俊宣君、同外国語学部の呉成連さん、四国学院大学福祉学科の林忠彦君に、それぞれ話を聞いた。 (大学生)
子供と学校を信じて
初級部、北海道初級 姜和淑先生(50)
分からないことは何でも聞いて
自分のことは自分でやるくせを
学校は楽しい の雰囲気作り
通学の練習、事前に必ず何回か
初めて朝鮮学校に子供を通わせる際の不安の多くは、学校のことをよく知らないことから来るものだ。実際に学校が始まれば徐々に解消されるだろう。心配せずに私たちに任せてほしいし、分からないことは何でも聞いてほしい。
1年生の時は勉強よりもまず生活面が大切だ。自分の力で自分の身の回りの基本的なことができるか、人の話を聞いてそれを行動に移せるかどうかなど、それまで家で過保護に扱ったかどうかの差が出る。
しかし、できなくても怒らずに、長い目で見守ってあげて。怒ってばかりでは、子供がい縮する。学校は楽しいところだという雰囲気を、会話などを通じて家庭でも作ってほしい。
ウリマル(朝鮮語)は1つ1つ習っていくので、まったく心配ない。また、通学は必ず何回か練習して。信号の見方や電車、バスの乗り方など、きちんと教えてあげてほしい。
一方、寮の場合だが、舎監と担任をはじめ全教職員がしっかりと面倒を見るので、安心して。子供はいったん寮に入ってしまえば友達や上級生らとの新しい生活にすぐ馴染んでしまうので心配ない。
朝鮮学校は日本学校に比べて1クラスあたりの生徒数が少ないが、それは決して悪いことではない。教員の目が行き届くし、友達同士深いつきあいができる。また学年の壁を越えて助け合い、みんなが家族のように仲良くなれる。
とにかく、「案ずるより生むが易し」だ。自分の子供と学校を信じて。
朝鮮人の基本忘れず
高級部、神奈川朝高 李武男先生(60)
どんな人生歩むか考えよう
本当の自分を出して親友を
何か3年間の目標を立てる
自分の特性見つけ、生かして
中級部と高級部は大きく違う。中級部までは甘えが許されるが、高級部に入るともう子供扱いされない。
入学前に、朝高がどんな学校か再確認してほしい。ただ勉強だけする場所ではなく「朝鮮人になるための学校」だという当たり前のことを、最近は父母も忘れている場合が多い。
そして入学後の3年間は将来、どんな人生を歩んで行くかを考える必要がある。高級部は生き方を考え社会に旅立つための準備をする場、大切な人格形成の時期だ。こうした基本的な部分をしっかり踏まえてこそ、勉強、生活、クラブ活動、すべてが充実する。
勉強も大切だ。目標を持ってしっかり勉強しなくてはならない。中級部まで成績が悪くても高級部から成長する子も多い。
地域によっても異なるが、高級部には色々な友達が集まってくる。でも、みんな同じ同胞の友達で、競争相手ではない。本当の自分を出せばきっと受け止めてもらえる。またそうしてこそ、将来まで長く付き合える親友も出来るだろう。
中級部までは何でも平均的にできる子が優等生だが、高級部からは全部ができなくても何か1つ自分の特性を見つけ、生かしていこう。そうして個性ある人間に育ってほしい。
勉強なら勉強、クラブならクラブ、何か目標を立てて3年間がんばれば、何か必ずいい結果が出る。やればできるという自信を持って、貴重な青春の3年間を充実させ、楽しんでほしい。